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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻12号

1998年11月発行

外科医に必要な産婦人科common diseaseの知識・6

子宮外妊娠

著者: 鬼怒川知香1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1474 - P.1476

文献概要

概念
 子宮外妊娠とは正常の着床部位である子宮腔以外の場所に受精卵が着床した妊娠の総称である.しばしば急性腹症を呈し,迅速な鑑別診断を行い,早急に外科的治療を含めた的確な治療を行うことが要求される.子宮外妊娠の頻度は全妊娠の0.3〜0.7%程度である.しかし近年,クラミジア感染症による子宮付属器炎の増加や,体外受精などの生殖補助医療の普及により,子宮外妊娠は増加傾向にある.クラミジア感染症による子宮付属器炎は卵管閉塞などをきたし,不妊症の原因の1つとなり,生殖補助医療を必要とするようになることもある.また感染によって卵管上皮に炎症をきたし,絨毛運動による受精卵の子宮腔内までの輸送を障害し,受精卵はそのまま卵管に着床,卵管妊娠の原因ともなる.子宮外妊娠の着床部位は卵管,卵巣,腹腔,頸管など多岐にわたる.そのうち卵管妊娠が全体の95〜98%を占め,卵管妊娠の部位別頻度では膨大部妊娠が最も多く,次いで峡部,間質部の順となる1).最近は微量尿中hCGキットや経腟超音波診断装置の普及により,子宮外妊娠の早期診断が可能となり,急性腹症を呈して初めて子宮外妊娠を疑うということは以前に比べて少なくなった.しかしそれでも子宮外妊娠と正常妊娠の極初期,あるいは流産や絨毛性疾患との鑑別が困難な症例も多い.
 本稿では,子宮外妊娠のなかでも下腹部痛を主訴に来院し,緊急処置を必要とすることの多い卵管妊娠について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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