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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻4号

1998年04月発行

文献概要

メディカルエッセー 『航跡』・20

米国における外科レジデント制度

著者: 木村健1

所属機関: 1アイオワ大学医学部外科

ページ範囲:P.456 - P.458

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 アメリカの外科は,今世紀初頭ジョンズホプキンス大学のHolsted教授がその原形を造ったといわれるレジデント制度によって先達から後進へと伝授されて来た.その間に開発発見された新知見を加え,旧聞を捨てていくという柔軟な姿勢によって,現在の外科体系が築き上げられた.この体系は,今日真実と信じられているコンセプトも明日になれば新進に打ち破られ,新しいコンセプトにとって代わられるという流動性をもって未来へと推移しているのである.外科体系の根幹を成すレジデント制度とは何か.本稿ではこの問いに答えてみたい.
 レジデント制度の目的は,5年間の研修の終了時点で社会一般に普遍的とされている手術が一人立ちでできる外科医を育てることにある.ここでいう手術という言葉には術前後の管理能力,疾患に対する基本知識などを含むのは言うまでもない.何故に5年間と決められた期間内に,一人立ちで手術ができるようにならねばならないか.この背景には,米国特有の医療経済事情がある.アメリカ外科学会は5年と定めた研修期間を終えたものしか外科医としての資格を認めないと社会に公表している.すなわち,研修中の医師は外科医と自他ともに称することができないのである.たとえ5年目のチーフレジデントであっても,外科医(surgeon)と称することはできない.単なる外科医志望者にすぎないのである.チーフレジデントと研修を終了したての若い外科医では力量的にはほとんど変わることはない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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