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臨床研究
胸部食道癌患者における術後呼吸管理—特に予防的気管切開の有効性について
著者: 戸倉康之1 山藤和夫1 高橋哲也1 会沢健一郎1 朝見淳規1 竹島薫1
所属機関: 1浦和市立病院外科
ページ範囲:P.475 - P.479
文献購入ページに移動食道癌手術後の肺合併症は周術期管理の進歩にもかかわらず30%前後と報告され,依然として患者の術後病的状態,術後在院死亡の主因として考えられている1,2).当科では,これまで胸部食道癌に対して標準術式として2領域リンパ節郭清と胸骨後胃管再建,術後は経鼻挿管による最大限1週間に及ぶ予防的人工呼吸管理を行ってきた.しかしながら,経鼻挿管による人工呼吸管理は人手の少ない一般病院では術後管理が容易である反面,鎮静催眠剤の使用など非生理的で患者の心理的圧迫感も強く,最近ではできるだけ早期の抜管,不可能な時は術前の種々のリスクファクターを検討した上で,患者の同意を得て術後0病日の予防的気管切開やトラヘルパー®で管理して早期weaning(呼吸器離脱)をめざしている.
本研究の目的は適応を決めて導入した術当日の予防的気管切開が術後の肺合併症発生や,在院死亡の減少をもたらすか否かをretrospectiveに検討することである.
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