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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻5号

1998年05月発行

臨床外科交見室

胆嚢手術法の変遷史瞥見

著者: 佐藤裕12

所属機関: 1福岡赤十字病院外科 2日本医史学会

ページ範囲:P.591 - P.592

文献概要

 臨床外科52巻13号に掲載された佐々木克典氏の論文(外科医のための局所解剖学序説;腹部の構造,4)で,肝胆膵領域を専門とする外科医にとって気になる記述があったので,外科学史の立場から,意見を述べさせてきただきます.
 まず「Calot's triangle」であるが,これはCalotが1890年に卒業論文として発表した「De la Cholecystectomie」のなかで,「cysto-hepatic angle」と命名したことに端を発する冠名であり,Calotは胆嚢摘出の際に胆管損傷を避けるためにこのような「三角形の領域」を想定したのである.Jean Francois Calotは1861年生まれで,1890年にパリ大学を卒業した.卒業後はほとんど消化器外科に手を染めることなく,もっぱら当時難病であった脊椎カリエス[Pott病;その病態解明と治療に貢献した英国の医家Per-civall Pott(1714-1789)を記念した冠名]の治療に取り組み,中央の医学界に出ることなく,1944年に南仏の片田舎で83歳で生涯を終えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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