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モノクローナル抗体を用いたがん転移の治療—基礎研究の応用はどこまで可能か?
著者: 山口俊晴1 北村和也1 大辻英吾1 岡本和真1 高橋俊雄1
所属機関: 1京都府立医科大学第1外科
ページ範囲:P.625 - P.630
文献購入ページに移動抗体に抗癌剤や放射性同位元素などの毒物を結合することで,選択的に癌細胞のみに傷害を与える,いわゆるミサイル療法はモノクローナル抗体の開発以来急速に発展してきた.臨床応用もいくつか進められ,その問題点もほぼ明らかになってきている.抗体に結合する物質としては抗癌剤をはじめ,毒素,放射性同位元素など様々な物が試みられている.また,抗体の結合する分子目標も,初期の腫瘍マーカーから,癌遺伝子産物や転移や浸潤に関与する癌細胞膜上の分子標的へと変化してきている.そして,抗体もマウスモノクローナル抗体から発展して,遺伝子組み替え技術や,高分子合成化学技術を駆使した,新しいタイプの抗体が開発されてきている.本稿ではモノクローナル抗体の開発以来どのようなタイプの抗体が用いられてきたかを概説し,それらがどのように治療に応用されてきているか,将来の展望を含めて紹介する.
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