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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻5号

1998年05月発行

外科医の工夫

吸収性クリップを使用した肝切除術

著者: 桂巻正1 平田公一1 木村仁1 古畑智久1 向谷充宏1 傳野隆一1

所属機関: 1札幌医科大学第1外科

ページ範囲:P.631 - P.634

文献概要

はじめに
 肝切除術において肝離断の際にできるかぎり出血量を少なくし,短時間に終了することは重要な手術操作のひとつである.一般的な肝離断法としては超音波メス(CUSA)の使用,forceps fracture法などによって肝離断を行い,離断面に露出される細い脈管などは電気メスで凝固切離し,太い脈管などは結紮切離する方法で行われる.しかし,肝静脈などの切離の際は慎重な操作を要し,血管が引き抜けたりする副損傷が生じないように細心の注意が払われ,結紮切離に時間を要する場合がある.脈管などの結紮に際して,ヘモクリップを使用すれば短時間に安全に施行できると思われるが,従来のヘモクリップは金属性であるため,術後CTにおいてアーティファクトが出現するため,肝切除においては使用されなかった.最近,体内で吸収される非金属性の吸収性クリップが開発され腹腔鏡下胆嚢摘出術で使用され始めている1).今回この吸収性クリップを肝離断における脈管の切離に使用したところ,肝離断操作をスムーズに行うことができ,術後出血・胆汁瘻などの術後合併症の発生も認めなかった.吸収性クリップは肝切除における肝離断の使用において非常に有用と思われたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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