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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻6号

1998年06月発行

遺伝子治療の最前線・12

IL-2遺伝子を用いた癌免疫遺伝子治療

著者: 山上裕機1 谷村弘1

所属機関: 1和歌山県立医科大学第2外科

ページ範囲:P.759 - P.763

文献概要

はじめに
 癌に対する新しい治療としてサイトカイン遺伝子を用いた免疫遺伝子治療が開発され,サイトカイン遺伝子を導入された腫瘍細胞をワクチンとして用いる免疫療法が基礎的に検討されてきた1,2).すなわち,インターロイキン2(IL-2)遺伝子を導入された腫瘍細胞でvaccinationすることで,担癌マウスにおいて腫瘍細胞のtumor-igenicityの低下を認め,腫瘍細胞からIL-2が産生されることで,CD 4陽性細胞のhelper func-tionをバイパスした抗腫瘍効果が期待できる3)
 さらにマウスの進行膀胱癌モデルにおいても,IL-2遺伝子を導入した腫瘍細胞で治療することで生存率の向上が期待できる4).その他,サイトカイン遺伝子を導入した免疫遺伝子治療に関する数多くの論文が報告されているが,ほとんどがマウスあるいはヒトの樹立腫瘍細胞株を用いた実験にすぎず,いずれもin vitroでの細胞回転が早く,不死化した細胞を用いたものである.最も頻用されているレトロウイルスベクターによる遺伝子の導入効率は細胞回転,あるいは細胞周期に依存するので5),これら樹立腫瘍細胞株にサイトカイン遺伝子を導入するのはきわめて容易である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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