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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻7号

1998年07月発行

文献概要

特集 分子生物学的診断は病理診断に迫れるか

胃癌の遺伝子診断が目指すもの

著者: 田村元1 西塚哲2 前沢千早2 坂田謙1 遠藤泰志1 本山悌一1

所属機関: 1山形大学医学部第2病理 2岩手医科大学医学部第2病理

ページ範囲:P.851 - P.856

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 遺伝子診断と病理診断は相補的な関係にあり,病理組織形態からだけでは鑑別が困難な良・悪性境界領域病変の診断や高悪性度腫瘍の診断に客観的指標を与えることが遺伝子診断の担っている役割である.胃の良・悪性境界領域病変の鑑別においては,p53遺伝子変異,染色体4p,7q,14q,17p,21qの欠失が悪性の指標として有用であり,一方,APC遺伝子変異の出現は良性(腺腫)あるいは超高分化型腺癌(低異型度癌)に特異性が高い.胃癌の進行度の目安としては染色体2q,5q,6p,11q,18qの欠失が蓄積することによるFAL(fractional allelic loss)の上昇があり,早期胃癌再発に関わる遺伝子異常として18q(DCC領域)の欠失,E-cadherin遺伝子変異が挙げられる.さらにc-erbB−2遺伝子増幅(あるいは過剰発現)の予後因子としての有用性が示されている.精度の高い遺伝子診断には,より多くの特異的遺伝子マーカーの同定が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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