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文献詳細

雑誌文献

臨床外科53巻7号

1998年07月発行

文献概要

特集 分子生物学的診断は病理診断に迫れるか

分子生物学的手法の膵癌への応用

著者: 玉川英史1 植松繁人1 小林健二1 菅野康吉2 松井淳一3 尾形佳郎3 相浦浩一4 上田政和4 高橋伸4 北島政樹4

所属機関: 1済生会宇都宮病院外科 2国立がんセンター中央病院臨床検査部 3栃木県立がんセンター外科 4慶應義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.863 - P.867

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 膵癌では高率に遺伝子異常が検出され,K-ras癌遺伝子コドン12の点突然変異を70%〜90%に認める.われわれは,分子生物学的手法を用いてK-ras癌遺伝子を検出することで,膵癌の存在診断の可能性および,進行度判定・肝転移予測から膵癌切除例の予後を正確に予測する試みを行っている.膵液を用いた膵癌の存在診断では,膵浸潤性腺管癌の70%,膵管内乳頭腫瘍の80%に,慢性膵炎の約20%,膵嚢胞の約30%に遺伝子異常を認めた.リンパ節/神経叢を用いた遺伝子学的進行度判定では,60%の症例で病理組織学的検討よりも病期が進行し,遺伝子学的進行度は臨床経過とより相関していた.肝転移予測においては,門脈血や肝組織から遺伝子異常を認めた症例は,術後1年以内に再発死亡し,その有用性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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