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文献概要
外科医に必要な耳鼻咽喉科common diseaseの知識・2
めまい・平衡障害
著者: 渡辺尚彦1
所属機関: 1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.887 - P.889
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めまい患者は女性に多く,女性では50〜60歳,男性では40〜50歳にピークを持つ.患者の訴えは回転感の時もあり,ふらつきや眼前暗黒感や平衡失調の場合もある.一般的に回転感は内耳障害に多く認め,ふらつきは椎骨脳底動脈の循環や自律神経関与のことが多いといわれているが,実際耳鼻咽喉科の専門外来で精査すると事実は少々異なる.ふらつきの訴えにも内耳障害が存在し,回転感の訴えでも中枢の血管病変が含まれる.めまいを覚えると患者はまず血圧や貧血を考え,かかりつけの内科を訪れることが多い.血圧はやや高いが神経症状がなく,CTで脳に異常がなければメニエール病だから耳鼻咽喉科を受診しなさいと勧められる.しかし,平衡機能検査の結果メニエール病と診断できるのは耳鼻咽喉科を訪れた患者の約15%にすぎない.メニエール病の診断基準を列記してみると,(1)発作性の回転性めまいを反復する.(2)めまい発作に伴って変動する蝸牛症状(耳鳴,難聴).(3)第8脳神経以外の神経症状がない.(4)原因を明らかにすることができない,である.
急激に発症するめまいの大半は側頭部や後頭部の外傷を除けば血管障害であり,責任病巣は内耳(末梢)と脳幹・小脳(中枢)に分けられる.末梢障害ではメニエール病,遅発性内リンパ水腫,突発性難聴,外リンパ漏などがあげられるが,詳細は省く.中枢障害では脳幹・小脳の出血,梗塞や椎骨動脈のTIAなどが原因として考えられる.
めまい患者は女性に多く,女性では50〜60歳,男性では40〜50歳にピークを持つ.患者の訴えは回転感の時もあり,ふらつきや眼前暗黒感や平衡失調の場合もある.一般的に回転感は内耳障害に多く認め,ふらつきは椎骨脳底動脈の循環や自律神経関与のことが多いといわれているが,実際耳鼻咽喉科の専門外来で精査すると事実は少々異なる.ふらつきの訴えにも内耳障害が存在し,回転感の訴えでも中枢の血管病変が含まれる.めまいを覚えると患者はまず血圧や貧血を考え,かかりつけの内科を訪れることが多い.血圧はやや高いが神経症状がなく,CTで脳に異常がなければメニエール病だから耳鼻咽喉科を受診しなさいと勧められる.しかし,平衡機能検査の結果メニエール病と診断できるのは耳鼻咽喉科を訪れた患者の約15%にすぎない.メニエール病の診断基準を列記してみると,(1)発作性の回転性めまいを反復する.(2)めまい発作に伴って変動する蝸牛症状(耳鳴,難聴).(3)第8脳神経以外の神経症状がない.(4)原因を明らかにすることができない,である.
急激に発症するめまいの大半は側頭部や後頭部の外傷を除けば血管障害であり,責任病巣は内耳(末梢)と脳幹・小脳(中枢)に分けられる.末梢障害ではメニエール病,遅発性内リンパ水腫,突発性難聴,外リンパ漏などがあげられるが,詳細は省く.中枢障害では脳幹・小脳の出血,梗塞や椎骨動脈のTIAなどが原因として考えられる.
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