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肝移植の現状と将来展望
著者: 橋倉泰彦1 川崎誠治1
所属機関: 1信州大学医学部第1外科
ページ範囲:P.911 - P.917
文献購入ページに移動はじめに
1989年に行われた島根医科大学での生体肝移植1)は,永らく閉ざされていた国内での肝移植を再開したという点で重要な意味を持った.1990年には京都大学2)と信州大学3)が生体肝移植プログラムを開始し,これまでに国内における小児肝不全患者に対する治療体系に少なからず変化がもたらされてきた.さらに,生体肝移植は成人例に対しても適応を拡げ4,5),移植肝容積という点での限界はあるものの,成人重症肝疾患の治療体系にも変化が見られつつある.1997年10月に施行された「臓器の移植に関する法律」(以下,臓器移植法)はこれまで生体肝移植を中心とせざるをえなかった国内での臓器移植に新たな道を開くものとして,その内容について今後のさらなる議論が待たれるとはいえ,評価される.ここでは臓器移植の先進国である欧米での肝移植に関する最近の動向をレビューし,わが国における肝移植の現状と今後の展望について述べる.
1989年に行われた島根医科大学での生体肝移植1)は,永らく閉ざされていた国内での肝移植を再開したという点で重要な意味を持った.1990年には京都大学2)と信州大学3)が生体肝移植プログラムを開始し,これまでに国内における小児肝不全患者に対する治療体系に少なからず変化がもたらされてきた.さらに,生体肝移植は成人例に対しても適応を拡げ4,5),移植肝容積という点での限界はあるものの,成人重症肝疾患の治療体系にも変化が見られつつある.1997年10月に施行された「臓器の移植に関する法律」(以下,臓器移植法)はこれまで生体肝移植を中心とせざるをえなかった国内での臓器移植に新たな道を開くものとして,その内容について今後のさらなる議論が待たれるとはいえ,評価される.ここでは臓器移植の先進国である欧米での肝移植に関する最近の動向をレビューし,わが国における肝移植の現状と今後の展望について述べる.
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