icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻10号

1999年10月発行

臨床外科交見室

オランダにおける胃癌に対するリンパ節D1,D2郭清の無作為比較試験の最終結果について

著者: 岡崎誠1

所属機関: 1兵庫県立西宮病院外科

ページ範囲:P.1328 - P.1329

文献概要

 最近,以前より注目を浴びていた,オランダにおける胃癌のリンパ節D1郭清とD2郭清の無作為比較試験の最終結果がNewEngland Journal of Medicine誌に発表された.オランダにおける胃癌手術ではD2リンパ節郭清はD1郭清と比較して術後合併症および長期生存率の点からメリットはなく,D2郭清は標準治療にはなりえないという結論であった1,2).このトライアルは1989年から1993年までの期間に996人の患者をエントリーし,そのうちD1郭清グループ380人とD2郭清グループ331人の計711人を比較している.重大な術後合併症の頻度はD1グループ25%,D2グループ43%,術後死の頻度はD1グループ4%,D2グループ10%,入院期間もD1グループ14日,D2グループ16日でD2グループが悪く,5年生存率はD1グループ45%,D2グループ47%と有意差はなかった.これは癌のstage別に比較しても有意差はなかった.この無作為比較試験は胃癌のリンパ節郭清に関して長期にわたる生存率の解明という点では世界で初めての結果であり,したがって非常に権威のある雑誌に掲載されている.また同誌に掲載されているアメリカ人医師のコメントは,「日本の胃癌の治療成績が良いのは,stage migrationのためであり,リンパ節郭清のためではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら