文献詳細
特集 薬物療法マニュアル
Ⅰ.救急患者の薬物療法 3.代謝・内分泌系
文献概要
高血糖の原因
救急患者において高血糖が問題になるのは,①ケトン性昏睡(diabetic ketoacidotic coma)および,②高浸透圧非ケトン性昏睡(hyperosmolar non-ketotic diabetic coma)を発症した患者である.その他に,③乳酸アシドーシス,④清涼飲料水ケトーシスが高血糖性昏睡の原因として重要である(表1).ケトン性昏睡は若年者(多くは30歳以下)のインスリン依存型糖尿病(IDDM)の発症時や,IDDM患者が何らかの理由でインスリン注射を中断したときやインスリン治療が不十分であったとき,あるいはIDDM患者が感染症,手術,外傷などの強いストレスにさらされた場合などに起こる.一方,高浸透圧非ケトン性昏睡は高齢者(多くは50歳以上)のインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)に起こることが多く,感染症,ステロイド,サイアザイド系利尿剤,脱水,熱傷,膵炎,肝機能障害が誘因となる.乳酸アシドーシスは敗血症や心不全に伴う末梢循環不全による二次的組織アノキシアによりピルビン酸や乳酸の産生が亢進して起こるが,循環呼吸不全と糖尿病が併存すると発症しやすい.糖尿病患者において経口血糖降下剤であるビグアナイド剤が誘因となる.清涼飲料水ケトーシスは肥満者のNIDDMに発症する病態で,高血糖による口渇を癒すために清涼飲料水(糖液)を多飲することにより血糖がさらに上昇し,ケトーシスをきたす1).
救急患者において高血糖が問題になるのは,①ケトン性昏睡(diabetic ketoacidotic coma)および,②高浸透圧非ケトン性昏睡(hyperosmolar non-ketotic diabetic coma)を発症した患者である.その他に,③乳酸アシドーシス,④清涼飲料水ケトーシスが高血糖性昏睡の原因として重要である(表1).ケトン性昏睡は若年者(多くは30歳以下)のインスリン依存型糖尿病(IDDM)の発症時や,IDDM患者が何らかの理由でインスリン注射を中断したときやインスリン治療が不十分であったとき,あるいはIDDM患者が感染症,手術,外傷などの強いストレスにさらされた場合などに起こる.一方,高浸透圧非ケトン性昏睡は高齢者(多くは50歳以上)のインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)に起こることが多く,感染症,ステロイド,サイアザイド系利尿剤,脱水,熱傷,膵炎,肝機能障害が誘因となる.乳酸アシドーシスは敗血症や心不全に伴う末梢循環不全による二次的組織アノキシアによりピルビン酸や乳酸の産生が亢進して起こるが,循環呼吸不全と糖尿病が併存すると発症しやすい.糖尿病患者において経口血糖降下剤であるビグアナイド剤が誘因となる.清涼飲料水ケトーシスは肥満者のNIDDMに発症する病態で,高血糖による口渇を癒すために清涼飲料水(糖液)を多飲することにより血糖がさらに上昇し,ケトーシスをきたす1).
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