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文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻11号

1999年10月発行

文献概要

特集 薬物療法マニュアル Ⅲ.周術期の薬物療法 2.緊急手術

ヘルニア嵌頓

著者: 清水忠夫1

所属機関: 1東京女子医科大学附属第二病院外科

ページ範囲:P.185 - P.186

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はじめに
 ヘルニア内容がヘルニア嚢の狭小部(多くはヘルニア門)で絞扼されて非還納性となり,その脱出臓器の血行障害を伴うものをヘルニア嵌頓または嵌頓性ヘルニアという.臨床上非還納性のものをすべてヘルニア嵌頓と呼ぶことが多いが,区別されるべきである.日常診療でよくみられ,嵌頓をきたすことのあるヘルニアは鼠径ヘルニア,大腿ヘルニア,腹壁瘢痕ヘルニア,臍ヘルニアなどである.また,閉鎖孔ヘルニアは稀な疾患であるが嵌頓を起こしやすく,術前診断が困難なことが多いので注意を要する.
 ヘルニア嵌頓はヘルニアの合併症中最もしばしばみられ,かつ重篤である.この状態が解除されないと脱出臓器は短時間のうちに壊死に陥ることとなる.したがって診断の遅れが致命傷となることもあり,急性腹症をみたら必ず念頭に置かなければならい.特に,高齢者に多く,嵌頓をきたしやすい大腿ヘルニアの診察にあたっては,身体所見をとる際に診察の範囲が腹部にとどまると見逃すことになるので十分注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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