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文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻11号

1999年10月発行

特集 薬物療法マニュアル

Ⅲ.周術期の薬物療法 4.要注意状態の患者 特定薬物使用(療法)中の患者

ステロイド内服中の患者

著者: 土屋敦雄1 長谷川有史1 竹之下誠一1

所属機関: 1福島県立医科大学第2外科

ページ範囲:P.234 - P.236

文献概要

基本的な事項
 侵襲に対する生体反応としてはホルモンを介する神経内分泌反応と,サイトカインなどの炎症性メディエーターを介する反応がある.そのうちグルコ(糖質)コルチコイドを主体とした神経内分泌反応は基本的かつ重要な生体反応である.
 一般に侵襲が加わると生体のコルチゾール需要が高まる.加わったストレスが視床下部からのCRH(corticotropin releasing hormone)分泌を刺激し,このCRHが下垂体前葉を刺激し,ACTHが分泌される.ACTHは副腎皮質を刺激し,内因性コルチゾール供給が増加する.副腎皮質からのコルチゾールの増加は視床下部や下垂体に直接作用して,そこから分泌されるCRHやACTHの分泌を抑制している(negative feedback).このfeedback機構により長期にステロイドを服用している場合二次性に副腎機能の低下をきたす.さらに手術など過度の侵襲が加わると,コルチゾール需要増加に対応できずに副腎不全となり,死に至ることもある.したがって,ステロイド服用中の患者の周術期管理には侵襲を想定したステロイドの補充療法が必要になる.臨床の場面でのステロイドとは合成糖質ステロイドのことを指す慣習があり,本稿でもそれに従った.ステロイドは作用時間,力価,糖質・鉱質作用から表1のように分類される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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