文献詳細
特集 薬物療法マニュアル
Ⅳ.術後愁訴と合併症の薬物療法
文献概要
はじめに
播種性血管内凝固症候群(disseminated intra-vascular coagulation:DIC)は様々な基礎疾患により凝固反応を起こし,微小循環系に血栓が多発する一方で,消費性の凝固障害と呼ばれる血液凝固因子や血小板の著しい減少,二次線溶の過剰亢進により出血傾向が現れる重篤な病態である.
しかし,その病態は基礎疾患により発症形式が異なっており,凝固異常が主であったり線溶異常が主であったりしてバランスが均等ではない.例えば腹部重症感染症を基礎疾患としたDICでは凝固亢進に加えて線溶が抑制された状態で,サイトカインや顆粒球エラスターゼ,PAFなどといったケミカルメディエーターの関与が強く全面に出ており,臓器障害の発症頻度も高い1).一方,悪性腫瘍を基礎疾患としたDICは凝固亢進状態に呼応した二次線溶の亢進した状態で,消費性凝固障害と相まって出血症状の発現頻度が高い.
播種性血管内凝固症候群(disseminated intra-vascular coagulation:DIC)は様々な基礎疾患により凝固反応を起こし,微小循環系に血栓が多発する一方で,消費性の凝固障害と呼ばれる血液凝固因子や血小板の著しい減少,二次線溶の過剰亢進により出血傾向が現れる重篤な病態である.
しかし,その病態は基礎疾患により発症形式が異なっており,凝固異常が主であったり線溶異常が主であったりしてバランスが均等ではない.例えば腹部重症感染症を基礎疾患としたDICでは凝固亢進に加えて線溶が抑制された状態で,サイトカインや顆粒球エラスターゼ,PAFなどといったケミカルメディエーターの関与が強く全面に出ており,臓器障害の発症頻度も高い1).一方,悪性腫瘍を基礎疾患としたDICは凝固亢進状態に呼応した二次線溶の亢進した状態で,消費性凝固障害と相まって出血症状の発現頻度が高い.
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