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文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻11号

1999年10月発行

文献概要

特集 薬物療法マニュアル Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法 4.消化器疾患

クローン病

著者: 岩男泰1 渡辺守2 日比紀文3

所属機関: 1慶應義塾大学医学部内視鏡センター 2慶應がんセンター 3慶應義塾大学医学部消化器内科

ページ範囲:P.440 - P.441

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クローン病治療の基本
 クローン病の病因・病態にはいまだ不明な点が多いが,腸管腔内から進入した抗原に対する生体側の過剰な反応が生じていることが明らかになりつつある.クローン病の内科的治療法は薬物療法と栄養療法とに分けられるが,薬物療法は腸管の炎症を抑制し,栄養療法は抗原物質の除去により治療効果を持つと考えられている.欧米では薬物療法が主体であるが,日本では栄養療法がクローン病のprimary therapyとして位置づけられている1).栄養療法は緩解導入にきわめて有効ではあるが,厳しい食事制限を行いつつ長期にわたって継続することは実際には困難なことが多く,緩解維持療法として薬物療法の併用が必要になる.逆に患者のQOLを考慮すると,薬物療法の併用により緩解を維持しながら栄養療法の減量をはかる必要があるともいえる.また,大腸型クローン病や大腸病変を主体とする小腸大腸型クローン病は栄養療法だけでは緩解導入が困難な場合が多く,薬物療法を併用する.大腸型の軽症例の中には薬物療法だけで緩解導入が可能な症例も少なくない.当然ながら栄養療法に反応しない肛門病変や栄養療法の不耐例に対しては薬物療法が絶対適応となる.発熱や下痢などの臨床症状が強い場合における速やかな症状の軽減・消失には,副腎皮質ステロイド剤が有効である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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