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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科54巻12号

1999年11月発行

雑誌目次

特集 胃・十二指腸の非腫瘍性疾患—外科医のための診療指針

1.急性胃炎

著者: 浦英樹 ,   平田公一 ,   山口浩司 ,   古畑智久 ,   秦史壮 ,   桂巻正 ,   向谷充宏

ページ範囲:P.1395 - P.1401

 急性胃炎は日常診療で最もよく用いられる病名のひとつであるが,急性胃粘膜病変(AGML)や急性胃病変(AGL)などの類似する病名も汎用され,それらの定義や疾患概念の解釈について混乱がみられる.また,診断基準についてもいまだに明確なものはなく,内視鏡的診断と組織学的診断の間に乖離が存在する.これらの問題点について確認しておきたい.また,胃炎の新しい分類“Sydney System”や,NSAID起因性胃粘膜傷害の発生機序に関する新知見など,急性胃炎を巡る最近の話題について紹介する.

2.胃潰瘍の診療

著者: 清水伸幸 ,   山口浩和 ,   瀬戸泰之 ,   上西紀夫

ページ範囲:P.1403 - P.1408

 主にHelicobacter pylori菌感染と非ステロイド系抗炎症薬により発生すると考えられている胃潰瘍については,罹患率の高い疾病であるものの,その発生機序についてはいまだ不明な点が多い.治療に関しては,新規抗潰瘍薬の開発と内視鏡的治療技術の向上により,外科手術が施される症例は少なくなってきた.特に,内視鏡的治療の進歩は目覚ましく,多くの合併症胃潰瘍が内視鏡的に対処可能となってきた.今後は,合併症胃潰瘍が減少するような正確な患者教育が望まれるとともに,HP感染と胃潰瘍との関連をどう取り扱うかが最も重要な話題となろう.

3.NUD—いわゆる慢性胃炎

著者: 亀山仁一 ,   鈴木晃

ページ範囲:P.1409 - P.1413

 NUDは消化管の機能異常の一つで,器質的疾患がないにもかかわらず,慢性的に上部消化管に由来する症状を呈するもので,この状態は従来,臨床の場では症候学的に慢性胃炎として診断されてきた.NUDには胃運動機能障害や精神心理的異常など様々な病態が関与しているとされており,その特徴的な症状より胃食道逆流型,運動不全型,潰瘍症状型および非特異型の4つの型に分類される.NUDは外科的な治療の対象とはならないが,治療を行うにあたっては,症状の違いにより病態が異なるため,十分に病態を把握したうえで治療法を決定することが望まれる.

4.Helicobacter pyloriと胃病変

著者: 栗原直人 ,   久保田哲朗 ,   古川俊治 ,   大谷吉秀 ,   熊井浩一郎 ,   北島政樹

ページ範囲:P.1415 - P.1419

 Helicobacter pylori (以下,H.pylori)は胃内持続感染が認められるグラム陰性ら旋状桿菌であり,本菌の持続感染は胃粘膜の組織学的炎症に帰結する.H.pyloriの特徴,胃内における本菌の病原性,粘膜障害の機序について概説した.本菌との関連が指摘されている胃良性疾患には,胃炎,non-ulcer dyspepsia(NUD),胃潰瘍が含まれる.いずれの疾患においてもH.pyloriの感染が高率に認められ,除菌治療により症状の改善,再発予防が報告されている.一方,潰瘍発症におけるH.pyloriの作用機序についてはいまだに不明な点も多い.これらの疾患については,除菌治療の保険適用が申請されており,H.pyloriの胃病変に及ぼす病態の解明と理解は今後の胃疾患診療に重要である.

5.胃静脈瘤

著者: 田上和夫 ,   橋爪誠 ,   赤星朋比古 ,   島袋林春 ,   後藤謙和 ,   漢那朝雄 ,   杉町圭蔵

ページ範囲:P.1421 - P.1426

 胃静脈瘤の治療は手術療法や,内視鏡的硬化療法(EIS),静脈瘤結紮法からinterventionalradiology(IVR)に至るまで,個々の症例に応じた治療法を選択できるようになり,患者のQOLを重視した,侵襲が小さく,かつ効果的な治療法が求められている.本稿では胃静脈瘤の病態生理,診断および当教室における治療法の選択についてに述べた。

6.十二指腸潰瘍—内科から

著者: 長谷部哲理 ,   原澤茂

ページ範囲:P.1427 - P.1432

 消化性潰瘍の治療には,初期治療と維持療法がある.初期治療は,活動性潰瘍すべてが対象となり,H2ブロッカーやPPIなどの強力な胃酸分泌抑制剤が使用できるようになり,ほぼ満足できる結果が得られている.また,維持療法はH.pyloriの除菌療法により,将来消化性潰瘍の自然史が変更になる可能性がある.しかし,H.pyloriの除菌療法に関しては,副作用や薬剤耐性菌の問題など残された課題もある.今後はH.pyloriの除菌療法を念頭に入れて治療する必要があるが,画一的な治療法ではなく,個々の症例に応じた治療法を心掛ける必要がある.

7.十二指腸潰瘍の病態と外科的治療法の選択

著者: 帆北修一 ,   石神純也 ,   中条哲浩 ,   宮薗太志 ,   夏越祥次 ,   馬場政道 ,   高尾尊身 ,   愛甲孝

ページ範囲:P.1433 - P.1438

 H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬の出現により,十二指腸潰瘍の治療体系に大きな変革がもたらされ,いわゆる潰瘍合併症を伴わない症例が外科的治療に委ねられる機会は大幅に減少している.良性疾患である十二指腸潰瘍に対する手術術式は,潰瘍の治療と術後障害の発生防止の両面よりとりわけ慎重に選択すべきである.幹迷切または選択的幹迷切+幽門洞切除は,潰瘍治療効果の面でもっとも優れた術式である.十二指腸潰瘍に対する迷切+幽門形成術後の高い潰瘍発生率の克服は今後の一つの重要な検討課題である.病態面では,H.pyloriと胃十二指腸疾患との関連につい多数の報告がなされ,とくに十二指腸潰瘍については除菌治療の効果などから密接な関連があることが明らかとなってきている.

8.十二指腸憩室

著者: 辻谷俊一 ,   貝原信明

ページ範囲:P.1439 - P.1442

 十二指腸憩室は,上部消化管憩室中で最も頻度が高く,上部消化管に対する検診の増加により確認されることが多い.臨床的に無症状で経過している場合は,合併疾患のない限り治療の対象とはならない.しかし十二指腸下行脚,とくに内側に高頻度であるため,胆道および膵疾患と関連が生じ,問題となることがある.したがって憩室炎など局所の直接的な合併症とともに,Lemmel症候群などの肝胆膵障害を考慮して治療する必要がある.

9.十二指腸の通過障害

著者: 大平雅一 ,   平川弘聖

ページ範囲:P.1443 - P.1449

 十二指腸通過障害を来す疾患のうち潰瘍,腫瘍性病変を除く比較的稀な疾患を対象として,病因,診断,治療につき概説した.先天性疾患では小児発症例が多いが,上腸間膜動脈症候群,輪状膵,十二指腸重複症では成人例も多くみられ,その診断,治療については熟知しておく必要がある.後天性疾患では腫瘍性病変によるものが90%以上を占め,その他の疾患によるものは稀であるが,各疾患ともその臨床像がきわめて特徴的であり,鑑別診断の上で,その特徴を知っておくことは重要である.

カラーグラフ 消化器の機能温存・再建手術・15

肛門括約筋温存直腸切除術後のJ型結腸嚢再建術

著者: 大矢正俊 ,   赤尾周一 ,   中村哲郎 ,   高瀬康雄 ,   廣瀬清貴 ,   岩瀬直人 ,   石川宏 ,   黄海文昌

ページ範囲:P.1389 - P.1393

はじめに
 直腸癌に対する肛門括約筋温存術は癌肛門側のsafety marginに関する知見の集積や,器械吻合法・経肛門吻合法などの再建手技の発達に伴い,上部・中部直腸癌だけでなく,下部直腸癌の多くにも施行されるようになってきた,しかしながら,肛門括約筋温存術後には,頻回排便やsoiling,便意促迫などの排便機能障害の症状がしばしば発生し,術後QOLの観点から大きな問題となっている.
 肛門括約筋温存術後の排便機能障害の原因の1つが直腸膨大部切除に伴う便貯留能の低下であることから,Lazorthesら1),Parcら2)は結腸を側々吻合して作製したJ型結腸嚢をneorectumとすることで術後の便貯留能改善をはかる再建法を提唱した.その後,J型結腸嚢再建は従来のストレート型再建よりも術後排便機能が良好であるとする無作為試験の成績も報告され3,4),J型結腸嚢再建は今日では肛門括約筋温存術後の標準的再建法の1つとして確立されつつある.

Current Topics

クリティカルパスは,ここが良い

著者: 山中英治

ページ範囲:P.1451 - P.1457

クリティカルパス(CP)とは
 「最近,看護婦からよく聞くクリティカルパスとは何ですか?」.外科のみならず臨床の現場の医師で,聞いたことはあっても内容まではよく知っておられない方は意外に多いようだ.
 かく言う筆者も,現在は病院長から“市立岸和田市民病院クリティカルパス推進委員長”という肩書(?)を拝命しているが,実は昨年4月に本院に赴任するまでは「聞いたことがある」という程度の知識だった.

メディカルエッセー 『航跡』・37

病院の安全危機管理(1)—医療施設認定合同委員会

著者: 木村健

ページ範囲:P.1458 - P.1459

 昨今,日本の医療界は横浜市大の手術患者取り違え事件をはじめ,異型輸血,誤薬静注,消毒薬静注事件など一連のきわめて重篤な医療事故により,社会から疑惑の視線を浴びている.日本の病院で日常実施されている医療サービスは,果して先進文明国市民の期待に応えられるほど安全なのだろうか?事故が表面化するたび,施設の責任者がメディアにむかって深々と頭を垂れて陳謝し,再びこうした事故を起こさぬよう厳重に注意すると空しく誓う.日本のメディアは相手が下手に出てひたすら恭順の姿勢さえ示せば,追求の手をゆるめてしまう習性がある.期日を限定した具体的な対策の実施を見るまでもなく,詫びたのだから許してしまうという精神主義のイタチごっこに終わる.これではいつまでたっても医療事故はなくならない.医療を受ける市民の間には半ばアキラメの気持ちが生じているのではないか.他の先進文明国には医療サービス水準を規定し,質が維持されているか随時チェックするシステムが存在する.このシステムは特定の施設にのみ適用するのではなく,全国的な規模で作動し,国民が適正な医療サービスを受ける権利を擁護するためにある.患者取り違え事件が仮にアイオワ大学病院で発生した場合,即日病院監査が実施され,原因追求と具体的な発生防止策が出されるまで医療業務は停止となるだろう.

病院めぐり

総合会津中央病院外科

著者: 樋口勝美

ページ範囲:P.1460 - P.1460

 当病院は昭和39年に医療法人星病院として発足し,昭和51年より脳卒中センターを増設,昭和52年に「財団法人白楡会総合会津中央病院」として,会津若松市の北側鶴賀町(国道49号線沿いで,磐越自動車道会津若松インターより車で5分の地)に新たに設立しました.昭和55年には救急センターを増築,昭和61年より救命救急センターとして発足し,会津地区の基幹病院として,地域社会のニーズに応えられるような近代医療を目指し,努力しております.
 外科は現在6名のスタッフで構成されており,5名が日本医科大学第1外科より派遣されており,1名が日本医科大学形成外科より外科研修として派遣されております.

仙北組合総合病院外科

著者: 内山哲之

ページ範囲:P.1461 - P.1461

 当病院は秋田県南部,大曲駅前の市中心部に位置し,大曲市・仙北郡を主診療圏とする地域センター病院です.開設は昭和9年9月,経営主体は秋田県厚生農業協同連合会で,公的医療機関指定を受けており,現在,病床数678床(一般科635床),診療科数18科で地域の人々の健康増進を使命としております.
 ここ大曲は,8月第4土曜日に開催される全国花火大会競技大会で有名です.全国の花火師が,その腕と技を華麗に競う上,大会提供の超豪華花火も行われるため,一度見たらほかの花火はつまらなく思えるほどです.当日は約60万人の観光客が集まります.毎年花火大会近くには学生の見学希望者が増えるという珍現象が続いています.

外科医に必要な泌尿器科common diseaseの知識・4

尿失禁

著者: 辻明

ページ範囲:P.1462 - P.1463

尿失禁の定義
 尿が不随意に膀胱から流出する状態である.

外科医に必要な整形外科common diseaseの知識・6

変形性股関節症

著者: 名越智

ページ範囲:P.1464 - P.1465

疾患の概念
 変形性股関節症は何らかの原因により股関節の適合性が不良となり,負荷の増加により関節軟骨の亀裂・摩耗などが起こり,大腿骨頭や臼蓋が変形し,関節の機能が低下・消失する疾患である.本邦における変形性股関節症はその70〜80%が何らかの解剖学的異常(臼蓋形成不全,先天性股関節脱臼など)に基づき発症する二次性変形性股関節症である.一方,関節軟骨自体の病変により負荷に耐えられなくなり変形を呈する病態を一次性変形性股関節症といい,本邦では稀である.

消化器疾患の総合画像診断

食道癌肉腫

著者: 関川敬義 ,   飯塚秀彦 ,   河野浩二 ,   宮坂芳明

ページ範囲:P.1467 - P.1472

はじめに
 食道癌の診断は内視鏡検査の発展により小さい病変が発見されるようになり,粘膜内病変に対して内視鏡的粘膜切除術が施行されるようになった.一方,進行癌では,時に超音波内視鏡検査やCT,MRI検査の普及により,より正確に深達度診断やリンパ節転移の診断が可能となってきた.しかし,腹腔内腫瘤や肝臓内腫瘤が併存する症例ではその質的診断が容易ではない場合もある.今回,食道のいわゆる癌肉腫で,大きな胃壁転移を合併した稀な1例について検討したので報告する.

Expert Lecture for Clinician

Bilayer Patch Deviceを用いた鼠径ヘルニア修復術

著者:

ページ範囲:P.1473 - P.1481

 外科医にとって鼠径ヘルニアは日常臨床で最も遭遇する機会が多い疾患であり,その修復術は外科医が習熟すべき,基本的手技といわれている.しかしながら解剖学的特異性,複雑性から,もっとも難解な手術ともいわれている.
 1999年7月,名古屋で行われた第54回日本消化器外科学会(会長 船曵孝彦藤田保健衛生大学教授)に併催されたランチョンセミナーにHernia Institute of FloridaのArthur. I. Gilbert博士が来日,世界有数の症例数と経験を持つヘルニア専門医である氏が,自らも開発に参画したProleneHernia System(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)を中心に,ヘルニア修復術の現在地を余すところなく語った.司会を担当した聖路加国際病院 柵瀬信太郎氏の好リードでフロアーとの活発な質疑応答もあり,満員の聴衆を魅了した.以下はその講演録である.

臨床報告・1

肛門外脱出にて発見されたS状結腸癌の1例

著者: 若杉健弘 ,   成田洋 ,   加藤克己 ,   羽藤誠記 ,   伊藤昭敏 ,   真辺忠夫

ページ範囲:P.1485 - P.1488

はじめに
 成人の腸重積症は,そのほとんどが器質的疾患に起因すると言われている1)が,その頻度は少なく,とりわけ癌腫が先進部となって重積状態をきたし肛門外にまで脱出したという例は稀である2).今回われわれは,肛門外脱出にて発見されたS状結腸瘤の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

微小膵癌の1例

著者: 出口浩之 ,   塩谷雅文 ,   山下修一

ページ範囲:P.1489 - P.1492

はじめに
 膵癌取扱い規約1)において規定される腫瘍最大径が2cm以下の膵癌(TS1,ts1)は一般的に小膵癌と呼称され,近年の画像診断の進歩とともにその発見例も増加する傾向にある.しかし,これら小膵癌は膵癌全体の6.5%にとどまる2)少数例であるにもかかわらず,その大多数がすでに進行膵癌であり,よって治療成績も決して満足するものではない3)ことも周知の事実である.そこで,以前より最大径1cm以下の膵癌,いわゆる微小膵癌を発見することは膵癌診断の究極であるとされているが,その例は今日なお少数例の報告を散見するにすぎない.今回筆者は,黄疸を契機に発見された微小膵癌の治療経験を得たので若干の考察とともに報告する.

アメーバ性大腸炎の2例

著者: 鳥正幸 ,   山崎芳郎 ,   桑田圭司 ,   小川法次 ,   小林晏

ページ範囲:P.1493 - P.1496

はじめに
 アメーバ性大腸炎(amebic colitis:以下,AC)は比較的稀な炎症性腸疾患で鑑別診断はしばしば困難である1).慢性に経過し潰瘍性大腸炎との鑑別が困難であった1例と,穿孔性腹膜炎を合併し急激な転帰をとった死亡例1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

イレウス管が誘因と推定された成人腸重積症の1例

著者: 神賀正博 ,   粕川俊彦

ページ範囲:P.1497 - P.1499

はじめに
 成人の小腸腸重積症は比較的稀で,何らかの器質的疾患を原因とすることが多い1,2).今回われわれはイレウス管に起因したと思われる腸重積症の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

高CEA血症を呈した虫垂粘液嚢胞腺癌の1例

著者: 亀井英樹 ,   小野崇典 ,   廣松伸一 ,   福島駿 ,   荒川正博 ,   白水和雄

ページ範囲:P.1501 - P.1504

はじめに
 虫垂粘液嚢胞腺癌の術前診断は困難であり,症状発現も遅く進行症例の報告も多い.そのため粘液産生の亢進による嚢腫の破裂・穿孔から腹膜偽粘液腫を形成しやすいことが特徴の一つとされる1).今回われわれは,腹膜偽粘液腫を合併せず上行結腸・回腸へ浸潤し,高CEA血症を呈した虫垂粘液嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.

膵癌による門脈狭窄に対する門脈内ステント留置の2症例

著者: 濱田円 ,   堀見忠司 ,   高松正宏 ,   小高雅人 ,   高崎元宏 ,   森田荘二郎

ページ範囲:P.1505 - P.1509

はじめに
 膵癌の多くは発見時に既にStage Ⅲ以上であるが拡大手術により根治度B以上が得られる症例も多く,門脈合併切除を余儀なくされることも稀でない.門脈浸潤が高度な場合,求肝性門脈側副血行路としてcavernous transformation1)が見られる.これらの症例に対し,われわれは体外循環装置2)を利用した拡大膵切除を施行し良好な予後を得てきたが,一方では手術操作中に側副血行路を切断した段階で根治術不能と判断し,術後門脈血確保の手段として門脈血管内ステントを留置した2症例を経験したので報告する.

臨床報告・2

腹壁結核の1例

著者: 津田基晴 ,   鈴木衛 ,   橋本勇一 ,   三崎拓郎 ,   石沢伸 ,   矢後修

ページ範囲:P.1511 - P.1512

はじめに
 今回われわれは,比較的稀1)な腹壁結核の1例を経験したので報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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