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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科54巻13号

1999年12月発行

雑誌目次

特集 大腸の非腫瘍性疾患—外科医のための診療指針

クローン病の診断と治療

著者: 畠山勝義

ページ範囲:P.1526 - P.1534

 クローン病(CD)は潰瘍性大腸炎(UC)とともに炎症性腸疾患として包括されており,現在なお原因不明の疾患であり,厚生省特定疾患に指定されている.原因不明であるので根治的治療はないが,しかし診断や治療に関する進歩・向上には著しいものがあり,厚生省特定疾患・難治性炎症性腸管障害調査研究班の果たした役割は大きい.CDの特徴は,縦走潰瘍,敷石像,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫で代表されるが,その他にもUCとは異なる特徴をもっている.本稿では厚生省特定疾患調査研究班の成果でもある診断基準や治療指針の最新のものを中心に解説したい.

急性虫垂炎の診断,治療の進歩

著者: 吉村和泰 ,   恩田昌彦 ,   田中宣威 ,   古川清憲 ,   高崎秀明 ,   金沢義一

ページ範囲:P.1535 - P.1539

 急性虫垂炎は炎症程度によりカタル性,蜂窩織炎性,壊疽性に分類される.身体所見,血液生化学的所見では虫垂炎の各病期を明確に区別することは困難である.手術適応は画像診断で腹部単純X線検査での糞石,超音波検査での虫垂の描出,腫大,糞石が決め手となる.また進行症例や右側結腸憩室炎などとの鑑別にはCT検査が有用である.幼児,高齢者でも手術適応を決めるにあたっては超音波検査が有用であり,妊娠合併例では早期の手術が重要である.高度炎症症例に対する術前抗菌薬投与は術後感染症予防に有効であると考えられる.

結腸憩室症と結腸憩室疾患

著者: 北郷邦昭 ,   河相開流 ,   竹内浩紀 ,   坂田秀人 ,   辻美隆 ,   松木盛行 ,   浜田節雄 ,   平山廉三

ページ範囲:P.1541 - P.1546

 わが国において結腸憩室症は近年,飛躍的に増加している.憩室の存在そのものは治療の対象にはならないが,結腸憩室保有患者の30〜60%に便通異常,腹部鈍痛,腹部膨満感・不快感などの愁訴(憩室症)があり,10〜30%に急性憩室炎,穿孔,出血,狭窄,瘻孔形成などの合併症(結腸憩室疾患)がみられる.結腸憩室疾患は症状に応じて外科的治療が必要となる.
 憩室炎・憩室出血は多くの場合保存的療法で経過を観察する.穿孔は他の大腸穿孔と同様,早急に治療を開始する必要がある.腸管狭窄や瘻孔形成では精査を十分に行い,炎症が治まってから待期的手術を行う.

腸結核の最近の動向

著者: 舟山裕士 ,   佐々木巖 ,   松野正紀

ページ範囲:P.1547 - P.1550

 結核は近年患者数の激減とともに忘れ去られた存在となりつつあるが,逆にここ2年間は結核罹患率,発生患者数は増加傾向であり,厚生省は先般,結核緊急事態宣言を発表した.腸結核は原発性腸結核と思われる症例がむしろ多く,また腸結核の発生数は集計を見る限り少なくとも減少傾向にはない.近年急増しているCrohn病との鑑別においても,また治療においても腸結核は常に留意していなくてはならない疾患である.従来の診断法に加えDNA診断あるいは血清学的診断により迅速かつ正確に診断が可能となった.これらの検査法を腸結核の病態を十分理解したうえで活用することにより,より的確な診断,治療が行えるようになるものと考えられる.

潰瘍性大腸炎の病因,診断,治療

著者: 正木忠彦 ,   松岡弘芳 ,   下位洋史 ,   阿部展次 ,   杉山政則 ,   跡見裕

ページ範囲:P.1551 - P.1557

 潰瘍性大腸炎(UC)の発症と炎症の持続には自己抗体,細胞障害性Tcell,サイトカイン,腸内細菌,活性酸素など多くの因子の関与が示唆されているが,メインルートの解明には未だ至ってはいない.厚生省班会議での多施設共同研究の成果としては,UCの診断基準が簡素化されたこと,治療面で重症例に対するステロイドの投与量や免疫抑制剤の位置付けが明確にされたこと,回腸肛門(管)吻合術が安全に施行されていることが挙げられる.UC長期経過例の増加に伴って癌合併例はもはや珍しくはなくなってきた.Dysplasia検出を目的とした内視鏡検査の有用性を含め,サーベイランスのやり方を真剣に検討すべき時期が来ている.

虚血性大腸炎の診療指針

著者: 橋口陽二郎 ,   山本哲久 ,   望月英隆

ページ範囲:P.1559 - P.1565

 虚血性大腸炎は大腸の虚血によりびらん,潰瘍,壊死などが惹起され,急性の腹痛,下痢,下血を発症する疾患である.一過性型,狭窄型,壊死型の3型に分類され,左側結腸に好発する.鑑別診断を要する疾患として,急性期は感染性および薬剤性の出血性腸炎,慢性期はクローン病が重要である.治療上は壊死型と非壊死型をできるだけ早い段階で鑑別し,前者に可及的速やかに緊急開腹手術を施行することがポイントとなる.壊死型の術後合併症発生率は高く,重篤な病態で,吻合を伴う手術は原則禁忌とされる.一方,非壊死型の予後は良好であり,大腸内視鏡検査で病状を把握しつつ保存的に対処し,狭窄型で必要があれば待機的手術を施行する.

閉塞性大腸炎の病態と診断・治療

著者: 青山浩幸 ,   丸田守人 ,   前田耕太郎

ページ範囲:P.1567 - P.1571

 閉塞性大腸炎は主に大腸癌やその他の疾患によってもたらされた大腸の高度な通過障害,あるいは閉塞により口側腸管に発生する非特異性炎症である.高齢の男性に多く発症し,閉塞の原因は大腸癌によるものが大半である.その頻度は大腸癌の約1%,大腸癌腸閉塞症例の約10%である.本症の発症には腸管内圧の上昇,腸管攣縮,細菌感染や動脈硬化などの血管障害が関連している.肉眼的・組織学的所見は虚血性大腸炎とほぼ同様の所見を呈する.治療は原疾患と炎症腸管を一括で切除することであり,炎症や潰瘍の遺残によって術後に合併症を呈することがある.炎症腸管をすべて切除しえた症例においては,閉塞性大腸炎の再発は起こらない.

S状結腸捻転症の診療指針

著者: 森田隆幸 ,   西隆 ,   梅原実 ,   橋爪正 ,   西澤良一 ,   大川正臣 ,   和田豊人 ,   中島道子

ページ範囲:P.1573 - P.1578

 S状結腸捻転症は高齢者に起こる比較的稀な疾患であるが,腹部単純X線写真,注腸造影,大腸内視鏡で特徴的な所見を呈する.腹膜刺激症状がなければ大腸内視鏡での整復術が行われ,整復率は高いが,再発率も高く,その予防に対する工夫が望まれる.一方,外科的治療の適応となる例は緊急手術例が多く,腸管壊死を伴うため慎重な術式選択が望まれる.腸管内容の排除と一期的S状結腸切除・吻合が行えれば理想的であるが,ショックを伴う場合にはストーマ造設を行わざるをえない.早期診断と適切な治療の重要性は他の急性腹症と変わるものではないが,慢性的な基礎疾患を有する高齢者にみられ術後治療に難渋する疾患の1つである.

巨大結腸症の診療指針

著者: 伊藤英明 ,   岡本好司 ,   平田敬治 ,   中山善文

ページ範囲:P.1579 - P.1582

 大腸の内径がある程度の期間にわたり拡張した状態を巨大結腸症といい,Hirschsprung病などの先天性のものと後天性のものがある.後天性巨大結腸症は慢性便秘,通過障害,神経筋障害による腸管壁の弛緩,薬剤性などの二次的に起こるものと原因不明の特発性のものとがある.Hirschsprung病や潰瘍性大腸炎の巨大結腸症はよく知られているが,慢性便秘,緩下剤長期常用,偽性腸閉塞症などによる巨大結腸症もよく遭遇する疾患,状態である.特発性も含めて神経や平滑筋の器質的または機能的異常が存在することが多い.主な疾患の分類,診断,治療について述べる.

直腸脱の治療

著者: 斎藤和好 ,   樋口太郎 ,   大塚幸喜 ,   旭博史

ページ範囲:P.1583 - P.1586

 直腸脱とは直腸が肛門外へ脱出した状態であり,直腸壁の全層が脱出した完全直腸脱と,粘膜あるいは粘膜下組織のみが脱出した不完全直腸脱に分類される.診断は容易であるが,脱肛や直腸粘膜脱との鑑別が重要である.治療では不完全直腸脱や幼児の完全直腸脱に対しては,軟膏塗布や緩下剤投与などの保存的治療が適応となる.また完全直腸脱に対しては,全身状態が不良のことが多い高齢者には侵襲の小さい会陰式のThiersch法やGant—三輪法,および両者の併用療法が有効である.全身状態良好な患者には再発が少なく,根治性の高い経腹的な直腸固定術(Ripstein法など)が有効である.

カラーグラフ 消化器の機能温存・再建手術・16

肛門括約筋温存直腸切除術

著者: 所忠男 ,   肥田仁一 ,   進藤勝久 ,   安富正幸

ページ範囲:P.1519 - P.1524

はじめに
 直腸癌の治療は手術療法が第1に選択され,根治性については治癒切除率は80.5%,その5生率は73.0%(全国集計)と高く,手術療法の根治性はある一定のレベルに到達した.
 しかし,長期生存患者の中にはオストメイトの増加や拡大郭清による排尿障害,男性性機能障害などの後遺症が高率に認められ,術後患者のQOLについては十分な結果が得られているとはいい難い.これらの問題を改善するために手術療法は括約筋温存手術や自律神経温存手術へと発展した.腹会陰式直腸切断術が80%の直腸癌患者に行われていた時代から,現在では約80%に前方切除術を代表とする括約筋機能温存手術が行われるようになっている.

病院めぐり

土浦協同病院外科

著者: 神戸文雄

ページ範囲:P.1588 - P.1588

 土浦市は茨城県県南の中央に位置する人口13万人の中核的商業都市で,その南西にはつくば研究学園都市が隣接,さらにその周辺には広い農業地域が控えています.当院は1971年9月に新治協同病院を改称,移転して茨城県厚生農業協同組合連合会により設立され地域住民のための基幹病院として地域医療に貢献しています.東病棟の増築,救命救急センター,地域がんセンターの開設などで現在,許可病床数1,009床,医師総数122名の大病院となっています.1998年4月に現,真田勝弘院長が就任,「1.地域中核病院として多様なニーズに対応する」「2.人間尊重の医療を追求する」「3.医療の研鑽に励む」を基本理念として医療の質と患者サービスの向上に努めています.
 開院当初よりほとんどの科が東京医科歯科大学の関連病院としてスタッフを構成し,外科は真川院長,柴田光一副院長,平沼進部長を中心として常勤医8名,ローテーター5名で診療に当たっています.外科の人院患者は常時100人近くいて,西4階,酉5階,がんセンター3階病棟に分散しています.それぞれの病棟で看護婦さんたちのカラーも若干異なりますが,どの病棟でもスタッフ一同患者さん本位の医療を心がけています.特別なホスピス病棟はないのですが,当科で手術を受けた患者さんは終末期も当院で過ごすことが多く,緩和ケア,癌性疼痛対策などの終末期医療に積極的に取り組んでいます.

友愛記念病院外科

著者: 加藤奨一

ページ範囲:P.1589 - P.1589

 当院は昭和56年茨城県西部の猿島郡総和町に157床の総合病院として茨城県民生活協同組合が設立した病院(生活協同組合が病院を持っているのは茨城県だけです)で,昭和57年4月より故片柳照雄先生(昭和37年信州大卒,昭和38年東大第3外科入局)が都立駒込病院外科から院長に招かれ,消化器外科を病院の中心に据えて発展,昭和61年に233床に,昭和63年に267床に増床され,現在に至っています.
 平成9年12月に突然片柳先生が逝去された後は,片柳先生の下で長年当院の発展に寄与されてきた鹿野信吾先生(昭和54年奈良県立医大卒)が新院長に就任し,片柳先生の作り上げた基礎の上に新風を吹き込み,さらなる発展を目指しているところであります.

私の工夫—手術・処置・手順

Single tubeによる経皮経肝,胆管・胆嚢ドレナージ

著者: 岩瀬博之 ,   渡部脩 ,   鈴木義真

ページ範囲:P.1590 - P.1591

 胆道悪性疾患による黄疸に対する経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)として,外瘻チューブの本数を減らすことは重要と思われる.三管合流部に浸潤する癌(図1上)では,左右の胆管が1本のチューブでドレナージできても,胆嚢管が閉塞されると胆嚢炎を起こす場合がある(図1下).この場合は胆嚢ドレナージ1)のためのチューブが必要になり,外瘻チューブが合計2本になるのが通常であるが,われわれは胆嚢および胆管を1本のチューブでドレナージしている.まず胆管を6Frのストレートチューブで型通りドレナージする.全身状態や胆嚢炎の状況が許されれば,このまま瘻孔がほぼ完成される2週間ほど減黄に努める.一期的な処置は時間もかかり,出血や胆汁漏出などの合併症の可能性が高いからである.胆嚢炎の処置が早急に必要であれば同時に胆嚢外瘻を置き,後に胆管との同時ドレナージを施行した後に抜去する.
 減黄が十分に行われた2週間後に胆管・胆嚢ドレナージを行う.当日は食事を中止し点滴をつけ,前投薬として標準的には硫酸アトロピン0.5mg,ペンタジンR30mg,アタラックスPR50mgを筋注し,また入れ替え前後の胆道内圧の上昇によるショックの予防策としてソル・メドロールR500mgを処置直前に投与する.

外科医に必要な泌尿器科common diseaseの知識・5

排尿障害,尿閉

著者: 早川正道

ページ範囲:P.1596 - P.1597

はじめに
 老齢人口の増加に伴い,排尿困難を訴える患者を診察する機会が増えている.その特徴ある症状を的確に聴取すれば原因を推測することは比較的容易である.尿閉に対しては適切な救急処置が必要となる.

外科医に必要な整形外科common diseaseの知識・7

慢性関節リウマチ,痛風

著者: 田中信行

ページ範囲:P.1598 - P.1600

リウマチ性疾患の概念
 関節炎による痛みで代表されるように,運動器の病変による痛みが慢性かつ動揺的に続く疾患は総称して通常リウマチ性疾患と言われている.歴史的には炎症性関節炎として大きく捉えられていた症候群の中から痛風が分離され,その後,変形性関節症,サルコイドーシス,結晶性関節炎,ライム病,若年性関節リウマチ,ウイルス性関節炎などの疾患が分離され,現在の慢性関節リウマチ(RA)の概念が形成されてきている.臨床では同じRAでもそのバリエーションは幅広く,現時点ではまだひとつの疾患群と捉えたほうがよいのかもしれない.本稿ではRAと痛風の診断,検査,治療について述べる.

Current Topics

医療事故の現状と医療者サイドの対策

著者: 森功

ページ範囲:P.1601 - P.1612

はじめに
 1999年1月11日,奇しくも1の並んだ日に横浜市立大学病院で患者取り違え事件が起こった.おそらく21世紀でもこの日は色々な機会に語られるであろう.なによりもこれを契機として日本の医療界に危機管理という概念が思い出したように浮かび上がり,とくに第一線の医療現場がより積極的な反応を示している.横浜市立大学病院事件(仮称,以下,同様)は以下のような課題を浮かび上がらせた.
 1.ハード面で最新の建築物・機器をもつ病院で,きわめて人間的で,その性格からしてもクラシックなアナログ的な事故が発生した.

消化器疾患の総合画像診断【最終回】

非定型的膵・肝疾患

著者: 藤田順子 ,   杉岡篤 ,   蓮見昭武

ページ範囲:P.1613 - P.1620

はじめに
 最近の肝胆膵領域の画像診断の進歩は著しいが,未だに非定型的な身体所見や画像所見を呈し,診断に難渋する症例も少なくない.本稿では非定型的な所見を呈した症例を呈示し,各々の所見の意義を検討したい.

臨床研究

腹腔鏡下胆嚢摘出術における消化管損傷の要因と対策について

著者: 權雅憲 ,   乾広幸 ,   上山泰男

ページ範囲:P.1621 - P.1624

はじめに
 腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)は低侵襲手技として広く普及し,良性胆嚢病変に対する第1選択術式の地位を確立した.LC施行時には安全に留意した的確な手技が要求されるが,時として胆道損傷や腸管損傷さらに大血管損傷をきたすことがある.LCにおける腸管損傷は稀ではあるが,重篤な合併症であり,LC施行時には気付かれないことが多い.熱損傷や腸間膜静脈血栓による虚血や壊死による穿孔はLC術後数日に発症し,腸管損傷診断の遅延は敗血症や腹膜炎を伴い,予後の不良につながる1,2).今回,筆者らはLC施行症例における腸管損傷の要因とその対応について検討した.

臨床報告・1

穿孔性多発性小腸憩室の1例

著者: 三宅敬二郎 ,   橋本哲明 ,   三宅俊三 ,   小川翼

ページ範囲:P.1625 - P.1628

はじめに
 多発性小腸憩室による穿孔性腹膜炎は比較的稀な疾患である1).今回筆者らは術前の画像診断や臨床所見から胆嚢炎を最も疑い,手術を行った1例を経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する.

胃癌術後6年で4型直腸癌を思わせる直腸狭窄をきたした転移性直腸再発の1症例

著者: 今津浩喜 ,   落合正宏 ,   中山邦久 ,   船曵孝彦 ,   黒田誠 ,   溝口良順

ページ範囲:P.1629 - P.1632

はじめに
 本邦における4型(び漫浸潤型)大腸癌の頻度は全大腸癌の0.08〜0.57%1,2)と稀で,原発性と転移性ともほぼ同数の報告があり,このうち転移性では胃癌によるものが多い3,4).こうした中でも胃癌術後5年を経過して発症したものは検索した限りにおいて10例と数少ない.今回われわれは胃癌術後6年を経過して4型直腸癌を思わせる直腸狭窄をきたした転移性直腸再発の1症例を経験したので報告する.

精巣上体炎によるFournier's gangreneの1例

著者: 松崎敦 ,   小林裕 ,   森田辰男 ,   徳江章彦

ページ範囲:P.1633 - P.1635

はじめに
 Fournier's gangreneは陰嚢および会陰部に壊死性筋膜炎を呈する疾患の総称であり,今なお治療の遅延により高い致死率につながる疾患である1)
 今回筆者らは精巣上体炎が原因と考えられたFournier's gangreneの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

造影晩期CT像により早期診断しえた絞扼性イレウスの1例

著者: 秋山和宏 ,   梁英樹 ,   吉田一成 ,   山下由紀 ,   中沢哲

ページ範囲:P.1637 - P.1639

はじめに
 近年,絞扼性イレウス診断におけるCTの有用性が報告されているが1〜6),臨床の現場での活用が不十分であるため,早期診断の実現には至っていないようである.今回,筆者らは積極的なCTの活用と造影法の工夫7)により,きわめて早期に診断・治療しえた1例を経験したので報告する.

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「臨床外科」第54巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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