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特集 大腸の非腫瘍性疾患—外科医のための診療指針
文献概要
虚血性大腸炎は大腸の虚血によりびらん,潰瘍,壊死などが惹起され,急性の腹痛,下痢,下血を発症する疾患である.一過性型,狭窄型,壊死型の3型に分類され,左側結腸に好発する.鑑別診断を要する疾患として,急性期は感染性および薬剤性の出血性腸炎,慢性期はクローン病が重要である.治療上は壊死型と非壊死型をできるだけ早い段階で鑑別し,前者に可及的速やかに緊急開腹手術を施行することがポイントとなる.壊死型の術後合併症発生率は高く,重篤な病態で,吻合を伴う手術は原則禁忌とされる.一方,非壊死型の予後は良好であり,大腸内視鏡検査で病状を把握しつつ保存的に対処し,狭窄型で必要があれば待機的手術を施行する.
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