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文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻2号

1999年02月発行

文献概要

特集 癌転移治療のノウハウ

転移性腫瘍に対する免疫療法・免疫遺伝子治療の現況と展望

著者: 北川雄光1 河上裕2 北島政樹1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科 2慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門

ページ範囲:P.203 - P.208

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 従来のいわゆる免疫療法は非特異的免疫賦活を利用したものが多く,転移予防手段としては期待されていたものの,顕在化した転移性腫瘍に対する単独での治療効果は確立されていなかった.しかし,1990年代になり,分子生物学的手法を用いてメラノーマを中心にT細胞認識ヒト腫瘍抗原が相次いで単離・同定され,T細胞系を用いたより抗原特異的な治療が開発された.さらに,T細胞認識抗原の研究のなかで,その分子機構や免疫寛容誘導に関わる分子も明らかにされ,これら新知見に基づいた治療法が開発されている.現在,新たなT細胞認識癌抗原の同定が進められると同時に,これらを用いた抗原特異的免疫療法・免疫遺伝子治療が一部では臨床試験の段階に入っており,今後難治性の転移再発腫瘍に対する最終治療手段として期待されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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