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文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻4号

1999年04月発行

文献概要

特集 Surgical deviceの有効,安全な使い方

バイポーラシザーズの有効,安全な使い方

著者: 小川哲史1 大和田進1 竹吉泉1 森下靖雄1

所属機関: 1群馬大学医学部第2外科

ページ範囲:P.479 - P.482

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 近年開発されたバイポーラシザーズ(商品名Power Star®,Johnson & Johnson Medical社製)は,モノポーラ電気メスの機能を持った剪刀で,直径2〜3mmの血管に対して凝固,切離が可能である.バイポーラシザーズは低電圧で使用でき,アクティブ電極とリターン電極は各々片側の刃にあるため,電流は生体を通過せず局所のみに放出される.このため,モノポーラと比べ隣接した組織への電気的損傷がなく,熱損傷も少ない.使用上の利点は凝固を確認しながら鋭的切離ができるため,器械を持ち替える操作や結紮などの止血操作が省け,手技の簡便化と時間の短縮が可能なことと,神経や血管の周囲でも安全な凝固,切離ができることである.胸部食道癌における反回神経周囲リンパ節郭清に使用した結果,術後の反回神経麻痺は16%であった.食道癌根治術のように狭く深い視野で神経や血管を温存する際には特に有用である.使用上の注意点は刃先の温度上昇による組織の熱損傷を防ぐため,刃先が神経や大血管などに直接に触れないことと,適宜,刃先を冷却することである.良好なメンテナンスにより再利用が可能で,患者のみならず医療従事者の熱傷や感電事故のリスクも軽減できる.
 バイポーラシザーズを使用することで,より安全で簡便な手術操作が可能で,新しい手術方法が開発される可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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