文献詳細
特集 切除標本取扱いガイドライン—癌取扱い規約に基づいた正しい取扱い法と肉眼所見の記載法
膵癌切除標本の取扱い(2)
著者: 浅沼義博1 南條博2 古屋智規1 佐藤勤1 小山研二1
所属機関: 1秋田大学医学部第1外科 2秋田大学医学部第2病理
ページ範囲:P.641 - P.644
文献概要
膵は内在する膵酵素によって自己融解をおこしやすい.しかも膵頭十二指腸切除などでは摘出に長時間を要するので,摘出後に新鮮標本を室温に放置することは避けなければならない.また固定法は,灌流固定が最も効果的であり,動脈や膵管,胆管から10%ホルマリン液を各20〜50ml注入した後に10%ホルマリン液に浸潰し3〜6日間固定する.
また,最近の画像診断の進歩と普及により無症候性膵腫瘍の診断が可能となり,小さい,予後の比較的良好な膵腫瘍が切除されるようになった.それに伴って,1993年(第4版)の膵癌取扱い規約1)では,肉眼的分類でも嚢胞型および膵管拡張型の2型が新たに加えられた.これらは組織型分類では主に粘液性嚢胞腫瘍あるいは膵管内腫瘍ともいわれるものであり,いずれもその発生において膵管上皮と深くかかわっている.したがってこのような症例の膵切除標本では,膵管系の十分な固定に留意し,異型上皮の進展範囲をよく観察することが重要である.
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