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文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻5号

1999年05月発行

メディカルエッセー 『航跡』・32

米国大学病院で外科教授になる過程(2)

著者: 木村健1

所属機関: 1アイオワ大学医学部外科

ページ範囲:P.658 - P.659

文献概要

 大学病院の外科スタッフ応募者は,まず履歴書,自薦作文(ステートメント)および研修病院指導医の推薦状の3つによってふるいにかけられる.首尾よくこれにパスすると,2日間にわたって20人もの人との面接が待っている.この過程を経て選りすぐられた応募者が,すんなり外科スタッフの職に就けるかというと,そうはいかない.外科医としてスタッフを選ぶからには,腕のほどをしっかり確めておく必要がある.研修病院で指導にあたった外科医に電話で応募者の腕前のほどを問い合わせる.それも相手がひとりだと偏見があってはいけないので,複数の外科医の意見を聞いて,総合的に判定する.技のほかに外科知識,判断力,指導力,勤勉および信頼度,それに人柄はどうかなどが質問に含まれている.吟味を重ねて選ばれた応募者の最終評価は医学部長に送られ,承認を受けてはじめて就任が決まる.未来の大プロフェッサーを目指す若者にとって息をつくのも束の間,就任と同時にtenure取得という難関が待ち受けている.アメリカの大学ではtenure(終生身分保証)をとるまでの期間は1年契約の臨時雇いである.折角職に就いてもことと次第では1年でお払い箱になる可能性がある.就任から半年ほどの間,手術中に同じ外科の畑の違う先輩スタッフがさり気なく手術室に出入りする.これを手術を見に来たギャラリーとカン違いしてはいけない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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