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文献詳細

雑誌文献

臨床外科54巻6号

1999年06月発行

文献概要

特集 直腸癌の治療—機能温存手術のプログレス

直腸癌に対して射精機能を維持する自律神経温存術

著者: 大木繁男1 池秀之1 舛井秀宣1 市川靖史1 山口茂樹1 杉田昭1 嶋田紘1

所属機関: 1横浜市立大学医学部第2外科

ページ範囲:P.741 - P.745

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 男性性機能とくに射精機能を維持するには腰部交感神経の温存が必要である.腰部交感神経は腰部交感神経幹から下腸間膜動脈(IMA)近傍,大動脈前面,大動脈分岐部,岬角,骨盤神経叢を通過して精嚢腺,前立腺,尿道,膀胱に至る.これらの経路のうちどこで損傷しても射精機能障害が発生するが,特にIMAを結紮,切除する時には神経を損傷しやすい.そこで腰部交感神経とIMAの最短距離を測定すると,右では0〜2mm25.6%,3〜9mm5.1%,10mm以上66.2%であった.左では0〜2mm28.2%,3〜9mm25.6%,10mm以上46.2%であった.また左右の腰部交感神経の合流形式を分類すると,IMA直下型20.5%,大動脈前面型35.9%,大動脈分岐部尾側型41.0%,合流なし型2.6%であった.これらを考慮して自律神経温存術を行ったところ術後の射精機能は91%に維持された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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