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特集 膵臓外科に対するチャレンジ:切離・吻合の工夫 吻合
切離・吻合—膵の用手切離と膵胃吻合の工夫
著者: 木村理1
所属機関: 1山形大学医学部外科学第一講座
ページ範囲:P.909 - P.913
文献購入ページに移動 十二指腸温存膵頭切除術では膵の切離は膵体部と膵頭部の2か所になる.膵体部実質の切離はメスで行い,膵実質内の血管から出血がみられた場合にその部分をZ縫合する.主膵管は膵実質の切離線で切離する.膵頭部の切離は膵実質を少しずつ小児用ケリーですくって結紮・切離し,できる限りすべての小膵管を結紮するように施行する.膵断端を閉じる方向に結節縫合を掛ける.膵胃吻合法は嵌入法と粘膜吻合法を併せた方法である.まず「全層縫合」,つまり膵前面の実質と穴の開いた胃の口側部分の壁の全層との縫合を行う.主膵管のある部では主膵管と膵実質を合わせて掛ける.次いで「漿膜筋層縫合」,つまり膵の漿膜および実質と胃の漿膜筋層縫合を施行する.この方法の利点は,主膵管が開くような運針であり,膵実質切離面は胃漿膜側で確実に覆われ死腔は存在しなくなることである.いずれにしろ膵実質を壊さないようにするための運針と糸結びが最も重要である.
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