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文献詳細

雑誌文献

臨床外科55巻1号

2000年01月発行

カラーグラフ 消化器の機能温存・再建手術・17

腹会陰式直腸切断術における肛門再建術

著者: 小西文雄1 佐藤知行1

所属機関: 1自治医科大学消化器一般外科

ページ範囲:P.5 - P.10

文献概要

括約筋温存術式の進歩
 近年の直腸癌に対する手術方法の進歩により,低位前方切除施行症例の割合が増加し,直腸切断術症例が減少の傾向にある.これは自動吻合器の使用,特にdoulbe stapling methodの普及や,経肛門的吻合によるcolo-anal anastmosisの開発によって,低位の直腸癌においてもより多くの症例において括約筋温存手術(sphincter saving operation)が施行されるようになったためである.超低位のdouble stapling法では肛門縁から3〜4cmのレベルでの吻合が可能であり,また,さらに低位で直腸を切離する方法としては腹部操作で肛門管上縁までの剥離を行っておき,歯状線のレベルで内肛門括約筋を切離して内外括約筋間を剥離し,腹腔側からの剥離層に連続させて下部直腸を切除する方法がある.この方法では経肛門的に手縫いで吻合を施行することとなり,double stapling法よりさらに低位の直腸癌の切除が可能である.
 しかし,肛門管上縁附近から肛門管にかかる位置に腫瘍の下縁が存在する直腸癌においては,早期癌を除き現在でも直腸切断術を施行して永久的人工肛門を造設する術式を選択せざるをえないのが現状である.筆者らの施設における括約筋温存手術と直腸切断術の比率を検討すると,直腸切断術の割合は1980年代前半ころには40〜50%であったが,1990年以降は30〜40%と減少の傾向にある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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