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特集 肝臓移植を理解する
文献概要
わが国では10年前から生体肝移植が行われ,既に900例以上がこれを受けている.脳死肝移植は2年余り前から法的に実施可能となったが,レシピエントの適応基準や選択基準は先進国のものと大きく異なっている.末期肝疾患として最も多いウイルス性肝硬変患者がこれを受ける可能性はきわめて低く,年齢制限や多臓器移植が不可能なこと,移植時期に対する考え方など,最近の肝移植の進歩からは見直す必要のある点が多い.また,実施施設の少数限定が肝移植を希望する患者に不公平性を生じている.ドナー不足の要因となっている可能性もあり,脳死臓器提供可能施設の規制も含め検討課題となっている.
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