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特集 癌治療のプロトコール—当施設はこうしている Ⅰ.食道癌治療のプロトコール
国立がんセンター中央病院・食道外科
著者: 日月裕司1 井垣弘康1 坪佐恭宏1 佐藤弘1 加藤抱一1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院食道外科
ページ範囲:P.27 - P.33
文献購入ページに移動1.治療前患者の評価
①癌の進行度診断
食道癌の治療は進行度に合わせて選択される.食道癌の進行度は原発巣(T因子),リンパ節転移(N因子),遠隔臓器転移,播種性転移(M因子)の進展範囲により判定される.これらの因子を評価するための検査項目を図1に示す.
原発巣の深達度の診断は内視鏡所見,内視鏡超音波,CT検査で行う.食道の壁の層構造を描出できる検査は現在は内視鏡超音波のみであり,食道壁内の深達度診断には必須である.食道壁外への浸潤の診断にはCT検査を行う.狭窄のある進行癌では内視鏡超音波のプローブが狭窄部を通過できず,癌腫の最深部の診断が不可能である場合もあり,T3以上の深達度の判定にはCTが必須である.気管,気管支への浸潤が疑われる場合は気管支ファイバースコープによる気道壁,粘膜の観察を行う.MRIの解像度は現時点ではCTを超えるものではない.気管や大動脈への浸潤が疑われる場合には矢状断などの横断面以外の断面が描出できるMRIが有効な場合もあるが,ルーチンではない.切除範囲や放射線照射範囲を設定するには上皮内進展の範囲の診断のためにヨウ素液を用いた色素内視鏡を行う.
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