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文献詳細

雑誌文献

臨床外科55巻11号

2000年10月発行

特集 癌治療のプロトコール—当施設はこうしている

Ⅶ.膵癌治療のプロトコール

京都大学医学部・腫瘍外科

著者: 細谷亮1 土井隆一郎1 和田道彦1 今村正之1

所属機関: 1京都大学医学部腫瘍外科

ページ範囲:P.201 - P.207

文献概要

術前診療のプロトコール
 1.術前患者の評価
 ①診断
 膵癌の診断では,存在診断・鑑別診断・進展度診断のすべてにおいて画像診断が最も重要である.体外式超音波検査(US)とMRCP(MR cho-langiopanceatography)は,尾側膵管拡張や閉塞性黄疸合併時の胆管拡張などの,膵癌の間接所見を拾い上げるスクリーニング検査法である.ERCPはかつては膵癌の診断に最も有効な検査法であったが,最近のMRCPの進歩により診断的ERCPは実施されなくなりつつある.しかし,他の画像診断法で腫瘤像を捉えにくい小膵癌や,膵炎による限局性の膵管狭窄などの精査には必須の検査法として位置づけられる.腫瘍を直接描出する画像検査としてはEUS(超音波内視鏡),CT(ダイナミックCT)とMRIが優れ,特にCTは膵癌の基本的な画像診断法であると同時に,手術適応や術式決定を判断するうえで重要視している.
 18F標識フルオロデオキシグルコースとポジトロン断層法を用いるFDG-PETは,悪性腫瘍の糖代謝に着目した新しい核医学的画像診断法である.膵癌ではFDGの強い集積が認められるが,多くの良性疾患ではFDGの集積が低いので,膵癌と腫瘤形成性膵炎などとの鑑別に優れている1).教室では膵腫瘍が疑われる患者には全例で実施している.最近は,膵癌患者の遠隔転移の有無の検索の目的で,全身のPETを行い,治療法の適正化に役立てている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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