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特集 癌治療のプロトコール—当施設はこうしている Ⅷ.甲状腺癌治療のプロトコール
信州大学医学部・第2外科
著者: 小林信や1 麻沼和彦1 藤森実1 新宮聖士1 伊藤研一1 浜善久1 丸山正幸1 天野純1
所属機関: 1国立療養所東長野病院外科
ページ範囲:P.233 - P.240
文献購入ページに移動1.術前患者の評価
①病理の組織型の決定および臨床病期の決定
①穿刺吸引細胞診(fine needle aspirationbiopsy:FNAB):診断のために最も大切な検査のひとつである.②頸部軟X線撮影:石灰化の性状により良性,悪性を鑑別する.③胸部X線撮影:肺転移の有無をみる.分化癌でも初診時に肺転移を認めることがある.濾胞腺腫の術後に肺転移がみつかり,濾胞癌と診断されることがある**.④CT・MRI:気管内腔への腫瘍の突出,気管壁の直線化から浸潤を診断する.⑤鼻咽喉ファイバー:気管浸潤,および反回神経麻痺をみる.気管に浸潤していれば気管壁が突出したり,気管粘膜の発赤・血管の拡張も認められる.⑥血管造影:総頸・内頸・外頸動脈への浸潤の可能性がある場合に検査する.⑦甲状腺機能:正常であることを確認しておく.稀ではあるが,機能性の甲状腺癌のうち機能亢進症となっていることもある.⑧腫瘍マーカー:乳頭癌の腫瘍マーカーとして血中サイログロブリンを測定し,術前から異常高値であったり,術後も低下しない場合は遠隔転移を疑って精査が必要である.髄様癌の腫瘍マーカーとしてはカルシトニン,CEAが有用である.
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