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文献詳細

雑誌文献

臨床外科55巻13号

2000年12月発行

文献概要

臨床外科交見室

「急性腹症」補遺

著者: 佐藤裕1

所属機関: 1北九州市立若松病院外科

ページ範囲:P.1593 - P.1593

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 急性腹症(acute abdomen)という用語は,従来言われてきたようにイギリスのZachary Cope(「Cope's Early Diagnosis of theAcute Abdomen」という名著を著している)ではなくて,同じ英国のHenry Battleが1906年にLancet誌に発表した[The AcuteAbdomen]という論文において初めて用いた言葉であることが,獨協医科大学越谷病院小児外科の川満富裕氏の研究で明らかになった(「臨床外科」第51巻6号,780-781頁,1996年を参照).そして,この中でその日本語訳である「急性腹症」は,第二次世界大戦後になってようやく文献上に現れてきたものであると考証している.ところが,最近筆者は別の目的で明治期の中外医事新報(日本医史学会の準機関誌的なもの)を調査中,「急性腹症」という用語に関して興味ある記事に遭遇したのである.中外医事新報は「中外新説」と題した項目を設け,国の内外で発表された新しい医学を読者に紹介しているが,その他にも多くの海外文献抄録を掲載している.この中外医事新報の明治39(1906)年11月20号(第640号:1574-1575頁)誌上に,「急性腹症」という用語がみられるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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