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文献詳細

雑誌文献

臨床外科55巻8号

2000年08月発行

臨床外科交見室

イレウス(ileus)の語源

著者: 佐藤裕1

所属機関: 1北九州市立若松病院外科

ページ範囲:P.1021 - P.1021

文献概要

 種々の要因で腸管内容の通過が障害された状態,すなわち「腸閉塞症」を「イレウス」とよぶがこの語源はギリシア語の「illein:ねじれる,巻き上げる」である.言うまでもないが,その時代には「腹腔内の腸管が“ねじれあがった”」病態を観察する術などあろうはずがなく,患者が痛みのために「身を“ねじって(傍点筆者)”悶え苦しむ」ところからきている.言い換えれば,“腸管がねじれあがる”状態(本態はまさにこういう状態であるが)ではなく,患者が痛みに耐えかねて“身体をねじって悶える”ことからきているようである.これに関連して,「volvulus(日本名:腸捻転)」という言葉があるが,この語源はラテン語の「volvo:巻く」であり,実際に腸管がねじれあがった(捻転した)状態を示しているようである.英語的には“twist”という単語のほうが,そのニュアンスをより正確に表しているように思える.さらにこの「ileus」に似た言葉に,「ileum(回腸)」と「ilium(腸骨)」が挙げられる.まず回腸を意味する「ileum」は,「ileus」と同じく「illein」に由来しており,剖検時にこの小腸係蹄が“とぐろを巻いたように屈曲蛇行している”ところから,こうよばれるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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