icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科55巻8号

2000年08月発行

文献概要

外科医に必要な脳神経外科common diseaseの知識・1

意識障害

著者: 松本健五1

所属機関: 1岡山大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.1030 - P.1033

文献購入ページに移動
疾患の概念
 意識とは脳の統合的機能に対し与えられた概念であるが,一般に覚醒している状態,または周囲のことがわかる状態のことをいう.意識障害とはこの覚醒の程度,すなわち外界の刺激に対する反応が低下ないしは消失した状態をいう.覚醒状態は橋上部,中脳,視床から大脳皮質へ双方向性に投射する網様体賦活系により維持されている.このため意識障害は大脳の広範な障害か脳幹網様体賦活系の障害により生じる.その原因は脳内の病変か,脳以外の臓器障害かによって,一次性脳障害と二次性脳障害に分けられる.また一次性脳障害において器質性(脳出血など)か機能性(てんかんなど)かに分けられる.意識障害の程度の評価にはいくつかの分類がある.Mayo clinicの分類である5段階評価(清明,傾眠,昏迷,半昏睡,深昏睡)が以前から多く用いられていたが,現在ではJapan coma scale(3-3-9度分類),グラスゴー昏睡スケール(Glasgow coma scale)がしばしば用いられている(表1).意識障害には2つの型,すなわち意識の清明度の低下と意識内容の変化とがある.上記はいずれも清明度の低下を主に評価している.意識内容の変化としてはせん妄やもうろう状態,錯乱状態などがある.意識障害を認める状態は脳の重篤な機能障害を意味しており,生命の危険にさらされている場合が多く原因のいかんにかかわらず緊急治療の対象である(表2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?