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特集 外科医に求められる緩和医療プラクティス
文献概要
苦しみを和らげることが緩和医療の基本である.多くは疼痛コントロールで緩和可能であるが,死を前にした患者の苦しみには「答えのない問い」と称される苦しみが存在する.このような苦しみに対して科学的な答えの出し方では限界がある.このような苦しみを緩和する1つの方法は「人生の共感者・良き理解者」になることである.それは,医療者が患者を理解するのではなく,患者が理解されたと思える医療者になることである.そのためには,「聴くこと」が大切である.実際には,傍にいること,そして何か良いことをアドバイスしようとするのではなく,静かにその人の苦しみを聴くことである.聴くことを通して患者が苦しみの意味を見いだせたとき,今までにない笑顔と感謝の中で生きていくことを経験する.
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