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文献詳細

雑誌文献

臨床外科55巻9号

2000年09月発行

外科医に必要な脳神経外科common diseaseの知識・2

頭痛

著者: 松本健五1

所属機関: 1岡山大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.1174 - P.1176

文献概要

疾患の概念
 頭痛はだれでも経験する症状であり,また日常診療で遭遇する最も多い訴えの1つである.頭痛は何らかの原因により頭蓋内外の痛覚感受部位が刺激されることにより生じる.頭蓋内組織において痛覚を有するのは脳血管および硬膜の一部で,脳実質は痛覚を有しない.脳血管の中では脳内の主幹動脈,静脈洞および流入静脈で痛みを感じる.硬膜では主として脳底部,および脳底部に近い脳表硬膜,小脳テントに痛みを感じる.したがって脳腫瘍や頭蓋内血腫の頭痛は脳血管の偏位や硬膜の緊張で起こる.またくも膜下出血や髄膜炎での頭痛は脳底部硬膜,脳血管の刺激によるものと考えられる.一方,頭蓋外では頭部,頸部の筋肉および筋膜に痛覚があり,特に後頭下の筋肉,側頭筋の収縮がしばしば頭痛の原因となる.また頭蓋外の血管,特に動脈は疼痛に敏感である.頭痛の原因は国際分類(表)のごとく多岐にわたり,頭蓋内外の種々の病態が関与している.これらは機能性頭痛と,器質的疾患に基づく頭痛(症候性頭痛)の2つに大きく分けられる.前者は放置しても深刻な病態に進展することはないが,後者は放置すると生命の危険にさらされることが多い.外来を受診する頭痛患者のほとんどは緊張型頭痛や片頭痛のような機能性頭痛で,器質的疾患によるものは少ない.しかしながら,これらの中に潜む生命の危険をもたらしうる症候性頭痛(くも膜下出血,脳腫瘍,髄膜炎など)を見逃さないことが頭痛患者の診療で最も大切なことである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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