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特集 甲状腺外科—最新の臨床
甲状腺の濾胞性腫瘍
著者: 野口志郎1
所属機関: 1野口病院
ページ範囲:P.1327 - P.1330
文献購入ページに移動 甲状腺の濾胞性腫瘍とは甲状腺の高分化濾胞上皮細胞で構成される腫瘍で乳頭癌に特徴的な核の所見がないものであり,過形成と濾胞腺腫と濾胞癌が含まれる.濾胞癌と腺腫や過形成との鑑別は非常に困難である場合が多い.多発性であれば濾胞癌である確率は低く,孤立性,充実性で嚢胞形成がなく,大きいものは濾胞癌である確率が高い.しかし,このような臨床的な指標では濾胞癌の鑑別はできないとの報告もあり,あるいはできるとしても早期の診断にはならない.手術中の迅速凍結標本での診断も非常に困難である.形態学的な診断がほとんど不可能であるから,細胞表面の分子をマーカーにしてそれを免疫染色して診断しようとの試みがなされている.現在検討されているマーカーはgelantin−3,CD44,CD26などがある.抗体の作製法によって結果が異なるので,良いモノクローナル抗体の作製が成否の鍵になっている.
筆者らの施設での濾胞癌の術前診断は約85%が良性腫瘍であった.濾胞癌が大きくなると肺転移の確率が高くなる.筆者らの症例で肺転移再発があった14例中で最も小さいものは最大径が20mmであった.したがって,20 mm以上の大きさの濾胞性腫瘍は手術を行うべきである.
筆者らの施設での濾胞癌の術前診断は約85%が良性腫瘍であった.濾胞癌が大きくなると肺転移の確率が高くなる.筆者らの症例で肺転移再発があった14例中で最も小さいものは最大径が20mmであった.したがって,20 mm以上の大きさの濾胞性腫瘍は手術を行うべきである.
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