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特集 甲状腺外科—最新の臨床
バセドウ病眼症に対する甲状腺全摘について—58例の統計的観察と亜全摘との比較
著者: 栗原英夫1 谷村清明1 佐々木純1 高松正之2
所属機関: 1栗原甲状腺クリニック 2高松病院
ページ範囲:P.1337 - P.1343
文献購入ページに移動CatzおよびPerzikらは,バセドウ病眼症の原因はバセドウ病を発症させた甲状腺の中にあるという前提から,バセドウ病眼症の治療に甲状腺全摘を行い,素晴らしい成績を報告している.しかし,Wernerらの追試では甲状腺全摘はバセドウ病眼症に効果はなく,さらにWitteらのバセドウ病症例の全摘50例と亜全摘100例とのprospective randomized studyでも,甲状腺全摘と亜全摘との間にはバセドウ病眼症に及ぼす効果に統計学的に有意差はないとのことであった.
筆者らも58例のバセドウ病眼症に甲状腺全摘を行い,術後2年以上経過した50例について手術前後の突眼度の変化を調査したが,術後突眼度は平均で0.9mm改善したが,統計学的には有意の改善はなかった(P=0.08).しかし,前述の全摘50例と同性で年齢,手術時期のほぼ同じバセドウ病亜全摘50例とを対比させて比較検討したところ,甲状腺全摘のバセドウ病突眼症に対する効果は統計学的にみて有意に良好であった(P=0.002).
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