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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻10号

2001年10月発行

文献概要

特集 甲状腺外科—最新の臨床

バセドウ病眼症に対する甲状腺全摘について—58例の統計的観察と亜全摘との比較

著者: 栗原英夫1 谷村清明1 佐々木純1 高松正之2

所属機関: 1栗原甲状腺クリニック 2高松病院

ページ範囲:P.1337 - P.1343

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 バセドウ病の症状は甲状腺機能亢進症状と眼症に大別できる.甲状腺機能亢進症に関しては若年者には手術,成人には放射性ヨード療法を行うことによりほぼ問題なく治療することが可能となったが,バセドウ病眼症に関しては決め手となる適切な治療がないのが現況である.
 CatzおよびPerzikらは,バセドウ病眼症の原因はバセドウ病を発症させた甲状腺の中にあるという前提から,バセドウ病眼症の治療に甲状腺全摘を行い,素晴らしい成績を報告している.しかし,Wernerらの追試では甲状腺全摘はバセドウ病眼症に効果はなく,さらにWitteらのバセドウ病症例の全摘50例と亜全摘100例とのprospective randomized studyでも,甲状腺全摘と亜全摘との間にはバセドウ病眼症に及ぼす効果に統計学的に有意差はないとのことであった.
 筆者らも58例のバセドウ病眼症に甲状腺全摘を行い,術後2年以上経過した50例について手術前後の突眼度の変化を調査したが,術後突眼度は平均で0.9mm改善したが,統計学的には有意の改善はなかった(P=0.08).しかし,前述の全摘50例と同性で年齢,手術時期のほぼ同じバセドウ病亜全摘50例とを対比させて比較検討したところ,甲状腺全摘のバセドウ病突眼症に対する効果は統計学的にみて有意に良好であった(P=0.002).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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