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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻11号

2001年10月発行

文献概要

特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧 Ⅱ.胃癌

進行胃癌に対する幽門保存胃切除術

著者: 野村幸世1 清水伸幸1 山口浩和1 比企直樹1 下山省二1 真船健一1 上西紀夫1

所属機関: 1東京大学医学部消化管外科

ページ範囲:P.73 - P.76

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はじめに
 幽門保存胃切除術は1960年代にMakiらにより胃潰瘍に対する治療法として開発された術式である1).これには迷走神経を保存するか否かについては記載がないが,幽門機能が温存されるため,術後の十二指腸液の胃内逆流が予防でき,残胃炎が少なく,また,ダンピング症候群が少ないことが報告されている2〜4).1990年代になり,わが国においてM領域の早期癌に対して幽門保存胃切除術が行われるようになった5).迷走神経を温存することにより,よりよい術後の胃機能が報告されており,また,リンパ節郭清に関してもさまざまな工夫によりほぼ完全なD2郭清が行われるようになってきた6)
 当科では,1993年から幽門輪から4.5cm以上離れた癌で,口側残胃が術前の胃の1/5以上残存可能な早期癌に対し幽門保存胃切除術を行ってきた.郭清度はM癌に対してはD1郭清を,SM癌に対してはD2郭清を行っている.当科における術式では迷走神経は肝枝は温存するが,幽門枝はNo.5リンパ節郭清のために右胃動脈は根部にて処理しており,あえて温存はしていない.No.6リンパ節は幽門下動脈を温存する形で郭清している.1993年から1999年に48例の幽門保存胃切除術を施行したが,全例無再発生存中である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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