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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻11号

2001年10月発行

文献概要

特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧 Ⅱ.胃癌

進行胃癌に対する隣接臓器合併切除術

著者: 稲田高男1 太田茂安1 清水芳政1 角辻格1 尾形佳郎1

所属機関: 1栃木県立がんセンター外科

ページ範囲:P.87 - P.91

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はじめに
 進行胃癌症例において,合併切除される隣接臓器としては横行結腸,膵,脾,横隔膜などが上げられる.隣接臓器の合併切除はリンパ節郭清の徹底のために膵や脾の合併切除が行われる場合と腫瘍の直接浸潤のために切除を行う場合がある.筆者らの施設における1986年から2000年末までの胃癌切除例1,489例中,隣接臓器への直接浸潤陽性(SI)と診断された症例は123例(8.3%)であり,直接浸潤臓器は延べで見ると,図1に示したように膵臓54例(38.9%)と横行結腸間膜42例(30.2%),横行結腸11例(7.9%)であり,この3臓器で大部分を占めている(図1).この3臓器に限定して癌占居部位と浸潤臓器の関係を見てみると,横行結腸および結腸間膜浸潤は中部あるいは下部病変がほとんどであり,また膵浸潤は膵浸潤の部位との関係もあるが,上部あるいは下部胃癌で浸潤が多いことがうかがわれる(表).したがって,術前検査において他臓器浸潤が診断されない症例においても,進行胃癌においては占居部位によって浸潤臓器の推定を行っておく必要がある.また合併切除の適応としては基本的に合併切除によって根治性が確保される症例である.
 ここに呈示する症例は術前診断において膵への直接浸潤陽性と診断され,膵および一部の横隔膜を合併切除した進行胃癌症例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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