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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻11号

2001年10月発行

文献概要

特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧 ⅩⅠ.乳癌

乳癌に対する乳房円状部分切除術

著者: 池田正1 神野浩光1 正村滋1 松井哲2 田島厳吾1 北條隆1 戸倉英之1 三井洋子1 麻賀創太1 武藤剛1 藤原潔1 平松秀子3 北島政樹1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科 2慶應義塾大学医学部がんセンター 3慶應義塾大学医学部放射線診断部

ページ範囲:P.355 - P.358

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はじめに
 乳癌に対する手術術式に関しては,諸外国の乳房温存術式と乳房切除術式とを比較したprospec-tive randomized trialの成績からは,いずれの術式を選択しても遠隔再発率あるいは生存率には統計的有意差のないことが確認されている1).しかし,局所再発率は術式あるいは術後照射の有無により大きく左右され,quadrantectomy followed byradiotherapyの4%2)から,lumpectomy withoutradiotherapyの39%1)に至るまで種々の報告がある.局所再発の高危険因子は,術後照射をしないことと,切除断端における癌細胞の存在である3,4).切除断端陽性の高危険因子は術式により異なり,切除範囲が狭いほど種々の要因が関係してくる5).切除断端陽性の原因は大部分が乳管内進展によるものである6).Hollandら7)によると,径2cmの乳癌でも10cm以上乳管内進展している症例がみられ,腫瘤縁から3cm離して切除しても約50%の症例では癌の遺残が乳管内にみられるという.したがって,術前にいかに乳管内進展を正確に読めるかが切除範囲を決定する重要な鍵となる.切除範囲を決めた後は,いかに正確に計画した部分を切除するかが重要となる.本稿では実際の手順に従って乳癌に対する円状乳房部分切除術の方法を記述する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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