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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻11号

2001年10月発行

文献概要

特集 画像で決める癌手術の切除範囲—典型症例総覧 ⅩⅠ.乳癌

乳癌に対する一期的乳房再建術

著者: 西村正樹1 山崎明久1 谷野隆三郎1

所属機関: 1東海大学医学部形成外科

ページ範囲:P.365 - P.368

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はじめに
 今や日本においても,乳癌により乳房切除が行われたあと,一期的乳房再建術が多くの施設で行われるようになった.1980年代はじめには,広背筋筋皮弁と人工乳房(シリコン・インプラント)を用いた乳房再建術が主流であったが,80年代後半よりHartrampfら1)によって発表された異物を使用しないで腹部の自己組織のみで再建する横軸型腹直筋筋皮弁(TRAM flap)が多く用いられるようになった.TRAM flapを一度身体から切り離しマイクロサージェリーを使って胸部や腋窩の血管と吻合する方法と,筋肉からの血行を温存し胸部に移動する筋皮弁法があるが,通常は上腹壁動静脈を栄養血管とする有茎の腹直筋筋皮弁による乳房再建が多く行われている.
 人工乳房は,現在生理食塩水入りのものや,シリコンジェル入りのものなどが欧米で販売されているが,日本の厚生労働省での認可を得ておらず,あくまでも医師の個人輸入という形でしか入手できない.また健康保険を使って手術を行い,同時に再建のため人工乳房を使った場合は,その材料費を患者個人に請求すると混合診療となりこれもまだ許されてない.しかし腹直筋筋皮弁を用いた再建術は健康保険で行っても差し支えない(KO16:動脈(皮)弁術,筋(皮)弁術19,900点).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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