文献詳細
特集 新しい医療材料と器具
文献概要
開腹術後の癒着は,イレウスの原因となり,つねに考慮しなければならない合併症である.この癒着の軽減を目的としたフィルム状の合成吸収性癒着防止材が開発された.これらは癒着完成の約7日間の間だけ損傷を受けた組織と周辺組織とを物理的に遮断することにより癒着を軽減するものである.いずれの製品も,十分な安全性と有用性が基礎実験でも臨床試験でも確認されており,それらの癒着防止効果により,術後癒着性イレウスの外科的治療が50%以上減少したことが報告されている.しかし癒着防止効果は完全ではなく,タルクの除去,確実な止血,十分な洗浄,愛護的手術操作などの基本的な術中癒着防止対策を怠らないようにすることが必要である.
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