icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻2号

2001年02月発行

臨床外科交見室

“ツッペル”とは

著者: 佐藤裕1

所属機関: 1北九州市立若松病院外科

ページ範囲:P.240 - P.240

文献概要

 術中鈍的剥離を進める際,「ツッペル」を用いる外科医は多いと思う.ところがこの「ツッペル」はどう綴るかについては正しくは知られていないようである.筆者も長年疑問に思い,先輩諸氏に尋ねたり文献調査を続けてきたが,不明のままであった.最近も数件の問い合わせがあり,ドイツ語辞典にある[Tupfer:(柄の先に綿球ないし折り畳んだ布を取り付けた)“斑点模様を画く道具”]が,おそらくそれに相当するのではないかと回答していた.ところがごく最近,胆道外科の先駆者であったドイツのHans Kehr(1862〜1916年)の胆道外科手術書のなかに「Tupfer」という言葉を見つけ,長年の疑問が一挙に氷解した次第である.この論文中に「Tupfer」の作り方の図解(図)があり,100×45(cm)のガーゼをまず長軸方向に三つ重ねに折り,さらにこれを端から折っていき,最終的に25×15(cm)の大きさにしたものを「Tupfer(gaze)」と呼んでいるのである.Kehrはこの「Tupfergaze」を,今日の我々と同じように血液や分泌物を吸収したり,腹腔内を拭うために用いている.置き忘れを防ぐために,四隅に黒糸の目印を付けることを勧めている一方で,「腹腔内遺残」をなくするために,術者は言うに及ぼず特に助手が細心の注意を払わねばならないとしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら