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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科56巻3号

2001年03月発行

雑誌目次

特集 総胆管結石治療の最前線—手技と周辺機器の進歩

総胆管結石治療の最前線

著者: 田中雅夫

ページ範囲:P.293 - P.297

 総胆管結石の治療は内視鏡的乳頭切開術,内視鏡的乳頭拡張術など,最近20数年で大きく進歩した.とくに後者の場合,多くは砕石法の応用が必須で,各種の砕石法の開発,とくに器械式砕石法の改良がそれを可能とした.経皮経肝ルートからの胆道鏡下切石術も有用なことが多いが,効率を上げるためには砕石法の併用が不可欠である.また,腹腔鏡下手術の進歩は総胆管結石に対する腹腔鏡下胆管切石術をも可能とした.一方,超高齢者やハイリスク例に対しては,胆管ステントで胆管炎を防止しながら維持する治療法もある.本稿では各種砕石法,それらを活用した内視鏡的切石法,腹腔鏡下切石法,その使い分け方,切石不能例の管理法などについて概説した.

内視鏡的アプローチ

ENBD,ERBD

著者: 田尻孝 ,   恩田昌彦 ,   内田英二 ,   有馬保生 ,   横室茂樹 ,   相本隆幸

ページ範囲:P.299 - P.303

 ENBD,ERBDはいずれも経十二指腸乳頭的胆道ドレナージ法であり,ENBDは経鼻的外瘻法,ERBDは内瘻法である.本法は砕石に直接携わるものではないが,総胆管結石治療前後における補助手段として大変重要な要素を有し,その周辺機器も改良が加えられてきている.したがってERCP施行時における技術習得はもとより,進歩してきている周辺機器の特徴を十分理解しその特徴をうまく活用することが大切である.そこで本稿では教室で心がけている手技のポイント,および最近多用している周辺機器を紹介した.

EST

著者: 池田靖洋 ,   眞栄城兼清

ページ範囲:P.305 - P.312

 ESTは一種の手術である.外科手術では,術野の場を静的に保ちながら切開や剥離を進めることが重要とされる.ESTも同じある.対象である十二指腸乳頭部を至適条件下に固定し,直視下に切開を進める手法が安全である.その観点から,“long nose”パピロトームによるESTやガイドワイヤーを胆管内に挿入した状態でのEST(ガイドワイヤー併用下EST)を推奨する.
 MR cholangio-pancreatography(MRCP)の普及により,内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)の機会が減ると胆管内挿管のエキスパートは少なくなる.したがって,ガイドワイヤーをまず胆管内に挿入し,パピロトームを送り込むガイドワイヤー併用下ESTを今後は標準手技にすべきと考える.

PTCD

著者: 小森山広幸 ,   田中一郎 ,   萩原優 ,   宮崎治 ,   山内栄五郎

ページ範囲:P.313 - P.320

 細径内視鏡や砕石機器の登場により,効果的な総胆管結石の治療が可能となっている.本稿では,筆者らが行っているPTCDを介した総胆管結石の治療法について述べた.過去5年間に当科において行った経皮経肝胆道鏡下砕石術(percutaneous transhepatic cholangioscopic lithotomy:PTCSL)は全例に良好な結果を得ている.またPTCSにESTを組み合わせた治療も容易で効率的である.合併症はPTCDによる出血で,砕石によるものはない.PTCSLはPTCDが不可欠なため黄疸を伴う総胆管結石や経乳頭的アプローチが困難な患者に適応されるが,高齢者や手術を拒否する患者にも応用でき安全で有効な治療法である.

PTGBD

著者: 大里浩樹 ,   植田俊夫 ,   後藤邦人 ,   濱直樹 ,   石飛真人 ,   尾田一之 ,   相原智彦 ,   菅和臣 ,   福永睦 ,   今本治彦 ,   冨田尚裕 ,   山崎恵司 ,   高塚雄一

ページ範囲:P.321 - P.325

 経皮経肝胆道鏡のルートは,通常,肝内胆管よりアプローチされるが,胆道結石症例においても黄疸発症例はさほど多くなく,胆道非拡張例ではこのアプローチ自体が困難となることもある.今回,筆者らは13例の手術不適応症例に対して胆嚢ドレナージルートを用いて,経皮経肝経胆嚢管胆道内視鏡下に総胆管結石の切石術を施行した.
 手技は以下の手順で行う.①エコー下に胆嚢ドレナージを施行,②透視下および内視鏡下に胆嚢管を経由してガイドワイヤーを総胆管内に挿入,③ダイレーターにより胆嚢管を16Frまで拡張することにより胆道鏡のルートを確保,④ガイドワイヤーをガイドに胆道鏡を総胆管内に進め,切石を行う.この方法により胆嚢内および肝内胆管までの切石術が可能である.
 自験例は,総胆管結石個数は1〜3個,平均2.4個であった.切石完了までに要した期間は15〜106日(37.9+23.2日)であった.平均観察期間は70か月であるが,現在まで結石再発は認めていない.経皮経肝経胆嚢管胆道鏡下切石術は比較的低侵襲な治療手段であり,治療成績も他の治療法と比較しても遜色ないものと考えられる.

腹腔鏡下アプローチ

総胆管切開一期的縫合

著者: 長谷川洋 ,   小木曽清二 ,   籾山正人 ,   伊神剛 ,   太平周作 ,   柴原弘明 ,   上原圭介 ,   森俊治 ,   水野隆史 ,   服部弘太郎

ページ範囲:P.327 - P.331

 胆嚢,胆管結石に対しては腹腔鏡下の一期的治療を第1選択として行っている.現在までの手術例は145例で,その内訳は胆管切開86例,経胆嚢管法59例であった.術式の選択基準は経胆嚢管法を第1選択とし,経胆嚢管法の不成功例,結石数4個以上,結石の大きい例を胆管切開の対象としている.第1選択ではないが,胆管切開は適応範囲が広く,治療を行ううえで必ず習得しておかなければならない手技である.筆者らは胆管切開例では胆道減圧を行わない一期的閉鎖を基本術式として採用し,良好な結果を得ているので,本術式の手術手技の詳細と施行するうえでのポイント,治療成績を紹介する.

経胆嚢管的切石

著者: 鈴木憲次 ,   木村泰三 ,   梅原靖彦

ページ範囲:P.333 - P.336

 腹腔鏡下経胆嚢管的切石術は胆嚢管にバルーンダイレーターを挿入し拡張させた後,内視鏡下に総胆管結石を除去し,状況に応じてCチューブを留置する手技である.細径ファイバー,イメージミキサー,細径鉗子,Cチューブの固定に用いるエラスティック縫合糸などの開発により術者の負担は軽減されつつあるが,手技が複雑であるため鏡視下操作に習熟した内視鏡外科医の行う特別な手術と位置づけざるをえない.在院期間の短縮,乳頭機能の温存に関しては最も優れた治療法の1つと思われるため,今後の器具の進歩により腹腔鏡下経胆嚢管的切石術が標準術式として定着することに期待したい.

Cチューブドレナージ

著者: 板東登志雄 ,   北野正剛

ページ範囲:P.337 - P.342

 総胆管結石に対する腹腔鏡下手術の導入に伴い,胆道ドレナージ法の選択についても,従来,ほぼ一律に用いられてきたTチューブドレナージに代わり,Cチューブドレナージが広く用いられるようになっている.Tチューブ法は遺残結石が危惧される場合には必要な手技であるが,煩雑な手技,種々の合併症,長期入院を要するなどのデメリットがある.Cチューブ法では術後数日以内に抜去でき,遺残結石に対してもCチューブを通じての洗浄排石やガイドワイヤー挿入によって術後の内視鏡的切石を確実なものとしうるメリットがある.Cチューブ挿入によるデメリットはとくになく,腹腔鏡下総胆管切石術に限らず胆道手術後の胆道ドレナージ法として積極的に併施すべき有用な手技と考えられる.

胆管切開,ドレナージ

著者: 梅澤昭子 ,   徳村弘実

ページ範囲:P.343 - P.349

 胆管結石に対する腹腔鏡下手術は,一期的治療が可能で,低侵襲性と整容性を生かした理想的な手技である.本法は,経胆嚢管的切石術と胆管切開切石術に大別される.胆管切開切石は経胆嚢管法適応外の胆管結石のほとんどに適応される.
 切石は胆道鏡をはじめとして多様な器械を必要とする.切石後の切開口の処置は,Tチューブをおくか一期的に閉鎖してドレナージなし,または経胆嚢管的ドレナージ(Cチューブ)のいずれかを選択する.Tチューブは遺残結石が懸念される症例の術後の切石ルートおよびステントを目的に用いられる.Cチューブは完全に切石できたことが明らかな症例のうち,胆管内に胆泥や粘液が残存する症例,術後胆汁漏出を防止したい症例に用いる.切開口の閉鎖は簡便で短時間に行うことが可能な連続縫合を基本とするが,Tチューブ挿入時は確実な縫合を要するため結節縫合する.
 腹腔鏡下手術がこれからの器械の進歩によって簡便な手技となれば,胆管結石治療の第1選択となると考える.

開腹術下アプローチ

一期的縫合

著者: 塩崎滋弘 ,   松川啓義 ,   小野田正 ,   大野聡 ,   二宮基樹 ,   檜垣健二 ,   池田俊行 ,   小林直広 ,   高倉範尚 ,   岡村進介

ページ範囲:P.351 - P.356

 総胆管結石に対する開腹下アプローチとして,筆者らが行っている胆管一期的縫合についてその適応と手技を報告した.さらに開腹下のアプローチで行われた胆管結石症例のうち,一期的縫合を行った58症例とTチューブドレナージを行った20例を比較し,一期的縫合の有用性について検討した.術後合併症については,一期的縫合群では胆汁漏を10.3%,肝機能障害を15.5%に認めたが,程度は軽微であり保存的に改善した.Tチューブ施行例では胆汁漏を10.0%,肝機能障害を25.0%に認めたほか,Tチューブ抜去後瘻孔形成不全による胆汁性腹膜炎にて開腹術を余儀なくされた1例を経験した.術後入院期間については一期的縫合群では19.0±8.1日であり,Tチューブドレナージ法の36.9±18.9日より有意に減少していた.総胆管の高度の拡張や炎症所見を認めず,遺残結石のない症例に対しては,一期的縫合が選択されるべきと考えられた.

Tチューブドレナージ

著者: 高橋伸

ページ範囲:P.357 - P.363

 総胆管結石の治療は新しい技術の出現により,多くの治療法から最良の方法を選択する時代になったが,1997年度の胆石全国調査報告では総胆管結石症例の60%が開腹手術により治療され,その大多数でTチューブ挿入が施行されていた.Tチューブを用いる目的は,総胆管の減圧・ドレナージと術後の切石経路の確保であり,長所は十分に太いルートが当初から得られることである.しかし,短所として抜去までに長時間を要することは避けられない.各症例ごとに病態を正しく診断し,適切な治療法を選ぶべきであるが,現時点での開腹Tチューブの適応は,ESTやEPDができない症例や不成功に終わった症例,あるいは技術的に腹腔鏡下手術が行えない症例であろう.

胆管十二指腸端側吻合術

著者: 松原俊樹 ,   船曵孝彦 ,   落合正宏 ,   桜井洋一

ページ範囲:P.365 - P.370

 総胆管結石症には胆嚢からの落石による結石と総胆管自体に結石生成の原因がある胆管原発結石あるいは再発結石がある.後者の場合,胆汁うっ滞や感染などの結石生成機序が乳頭部を含め胆管自体にあり,結石を取り除くだけの治療では再発防止という観点から不十分である.治療に際しては胆管内での結石生成の原因となる胆管狭窄,胆管末端部閉鎖不全,胆管消化管瘻,十二指腸傍乳頭憩室などの病態・疾患を十分に考慮して治療法を選択することが肝要で,胆道付加手術が必要である.胆管十二指腸端側吻合術は原発性胆管結石,再発結石などに対する胆道付加手術の一つとして手術手技,侵襲,術後機能面から優れた再建方法と考えられる.

経十二指腸乳頭形成術

著者: 佐々木睦男 ,   吉原秀一 ,   石戸圭之輔 ,   鳴海俊治 ,   袴田健一

ページ範囲:P.371 - P.376

 経十二指腸的乳頭形成術はビリルビンカルシウム石を有する原発性総胆管結石に対する根治的治療として良好な成績を収めてきた.その術式の概要は乳頭括約筋を一部切除するとともに胆道末端部を広く開放することにより良好な胆道ドレナージを得るものである.しかし,この良好なドレナージは消化管内容物の胆道内逆流を惹起し,胆管炎,肝膿瘍の原因となる可能性が示唆された.さらに長期的には本術式施行例より胆道癌の発生もみられた.したがって,この術式の採用には適応の慎重な選択と,長期にわたる厳重な経過観察が必要となる.

胆道内圧による乳頭機能からみた治療選択

著者: 北川裕久 ,   太田哲生 ,   萱原正都 ,   西村元一 ,   藤村隆 ,   清水康一 ,   三輪晃一

ページ範囲:P.377 - P.382

 胆管結石治療において,遺残結石がない,再発しない,良好な長期予後が得られる,低侵襲で早期退院できる,の4点すべてを満たすのが理想的な治療法である.胆管結石は成因からみると,胆嚢からの落下結石と胆管に原発する結石の2種類があり,後者は乳頭機能の異常が関与していると考えられるためそれぞれに対する理想的な治療法はおのずと異なってくるはずである.筆者らは1973年より術中胆道内圧測定で乳頭機能評価を行っているが,その結果から内圧測定で器質的な乳頭異常と判断された場合に胆管結石が原発すると考えられた.したがって器質的乳頭異常には胆道付加手術を,それ以外の場合には乳頭機能を温存した切石術を適応としている.さらに内圧正常でかつ遺残結石のおそれのない症例には,胆管横切開一次閉鎖術を行って入院期間の短縮が得られている.

カラーグラフ 食道癌の内視鏡下手術・4

頸腹部操作先行による胸腔鏡下食道切除術

著者: 川原英之

ページ範囲:P.285 - P.289

 胸腔鏡下食道切除術がわが国で行われてから7年あまりが経過した1).食道は解剖学的に縦隔の深部に位置し,心大血管,気管気管支といった重要臓器に隣接するため,剥離やリンパ節郭清などの手技が難しく悪性腫瘍に対する胸腔鏡下手術の評価は確立されていない.リンパ節郭清に限っても開胸による標準的手術と同程度に郭清可能とする報告2)から,あくまでも縮小手術のひとつと考える見解までさまざまである.
 ここでは筆者らが行っている頸部,腹部操作を先行する胸腔鏡下食道切除術の手技について述べる.

目で見る外科標準術式・15

右半結腸切除術

著者: 高橋孝

ページ範囲:P.383 - P.395

標準的右半結腸切除術
 最も高い頻度で出会う進行度の右側結腸癌に対して,過不足のない切除と郭清の操作をもつ術式で,多くの外科医が採用している術式を標準的右半結腸切除術と呼ぶならば,これに相当する右半結腸切除術を1つ挙げることは難しい.それだけ日常に行われている右半結腸切除術式には切除と郭清の範囲に違いがあり,かつその操作への到達方向にも相違が見られている.この意味ではいくつもの標準的右半結腸切除術式があると言える.
 何をもって右半結腸切除術とするかも定まっていない.ここではまず筆者の考える右半結腸切除術を述べておく.

麻酔の基本戦略・7

全身麻酔の維持

著者: 稲田英一

ページ範囲:P.397 - P.401

目標
 1.麻酔維持の基本概念について理解する.
 2.バランス麻酔の概念について理解する.
 3.全静脈麻酔について理解する.
 4.吸入麻酔薬主体の麻酔管理について理解する.
 5.術中のモニタリングについて理解する.

外科医に必要な脳神経外科common diseaseの知識・8

クモ膜下出血(SAH)(2)—破裂脳動脈瘤の治療

著者: 魏秀復 ,   宇野淳二

ページ範囲:P.403 - P.405

治療
 破裂脳動脈瘤によるSAHは発症時に約半数がすぐさま死亡する致死率の高い疾患である.運良く死に至らなかった約半数は何らかの処置を受けるが,時にある特異な病態を併発する.それは出血性疾患に脳血管搭攣縮(vasospasm)による閉塞性疾患,つまり脳梗塞を合併することである.出血と脳梗塞が同時に起こるのである.外科的に脳動脈瘤の「根治術」を施行したにもかかわらずバゾスパズムによる致死的な多発性脳梗塞が生じることも稀ではない.このバゾスパズムに対して近年最新の血管内手術器具の導入により劇的に神経症状の改善が得られる症例が増えてきた.あらゆる治療に抵抗性であったバゾスパズムに対抗しうる有効な手段をわれわれは初めて手に入れたのである1,2)

外科医に必要な眼科common diseaseの知識・9

糖尿病網膜症,網膜静脈閉塞症,網膜中心動脈閉塞症

著者: 佐藤幸裕

ページ範囲:P.407 - P.409

はじめに
 糖尿病網膜症と網膜静脈閉塞症は最も頻度の高い眼底疾患である.基本的には両疾患ともに眼科医での管理が必要であるが,外科医もその病態を理解しておく必要があると思われる.
 一方,網膜中心動脈閉塞症は眼底疾患のうちで最も緊急な処置を要するものであり,本症が疑われる場合は一刻も早く眼科医のもとに患者を送る必要がある.

病院めぐり

—群馬県済生会—前橋病院外科

著者: 蔵屋敷隆二

ページ範囲:P.410 - P.410

 前橋市は群馬県の県庁所在地で「水と緑と詩うたの街」といわれ,市街地を利根川,広瀬川の2つの川が水量豊かに流れ,三方を赤城,榛名などの山に囲まれ,東南は関東平野に大きく開けた美しく住みやすい町です.付近は万葉の昔から歌に詠まれ,萩原朔太朗をはじめ多くの詩人たちのゆかりの地です.
 昭和6年に済生会の群馬県支部が設立され,昭和18年に市の中心部にて診療を開始した当時の病床数はわずかに8床でした.その後次第に病院として発展し,昭和49年に急速に都市化が進んだ利根川西部地域への進出要請を受け,前橋市西部および高崎市東部地域唯一の公的医療機関として現在地に移転しました.昭和63年に循環器センターが開設され,群馬の地で本格的な循環器疾患の外科的治療ができるようになりました.

谷津保健病院外科

著者: 宮﨑正二郎

ページ範囲:P.411 - P.411

 当院は千葉県の北西,都心から約20kmのベッドタウン,習志野市にあります.病院の南には都市に残る貴重な渡り鳥の飛来地として有名な谷津干潟があり,ラムサール条約により国際的に重要な水鳥の生息地として認定されました.休日には近隣の谷津バラ園とともに都心から来訪者の姿を多数みかけます.
 当院は昭和56年に病床数232床,7診療科にて開院,その後増床を重ね,現在は428床,15診療科,常勤医35名,1日の外来患者約900人の地域の中核病院としてスタッフ,ベッドともフル稼働しております.

文学漫歩

—安部公房(著)—『第四間氷期』『他人の顔』(1970,1968 新潮社 刊)

著者: 山中英治

ページ範囲:P.412 - P.412

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンがもうすぐオープンします.2001年の大阪の話題といえば,このテーマパークと岸和田市民病院が担当する日本クリニカルパス学会(11月21・22日)でしょう.
 テーマパークにはジュラシックパーク,ジョーズ,ウォーターワールドなどがあって映画好きにはたまりません.ウォーターワールドのケビン・コスナーは鰓呼吸のできる水棲人という設定でしたが,地球の温暖化で陸地が水没して水棲人が出現するというストーリー,「これってDr.安部公房の『第四間氷期』に似てない?」と思われた方は私だけではないと思います.

南極物語

ペンギンの手術

著者: 大野義一朗

ページ範囲:P.413 - P.413

 ヘリコプターの行き先は昭和基地から50kmほど南のラングホブデだった.氷で覆われた南極大陸には稀少な露岩域で,大陸移動前の大昔に接していたセイロン同様ガーネットの原石があちこちに転がっていた.直射日光で暖まった岩場では雪が溶けコケが生えていた.動けない植物にとって南極は動物以上に過酷な環境で木草はない.数cm広がるのに百年以上かかるコケの緑はいとおしかった.氷のゆるんだ入り江のあちこちに開水域ができ,ペンギンにとっては好都合なのだろう,岸には数百羽が集まるコロニーがあった.
 ペンギンはよたよた歩くが,海中では驚く速さで泳ぎ回り,5分以上潜水ができる鳥だ.その水中行動を生物部門が調査していた.夏はペンギンの産卵育児期で,つがいが2個ずつ卵を産む.親鳥は3〜7日間の交代で片方はひとときも離れず卵や雛を暖め,他方が捕食に行く.生物隊員は捕食に出かけようとするペンギンのなかから元気そうなのを選りすぐって連れてきた.

臨床報告・1

Diabetic mastopathyの1例

著者: 小野拓 ,   北川伸子 ,   登内仁 ,   三木誓雄 ,   白石泰三

ページ範囲:P.415 - P.418

はじめに
 糖尿病の罹患期間が長年にわたり,さらに血糖コントロールが不良な症例では細小血管症を基盤とする網膜症,腎症,神経症が併発することはよく知られている1)が,乳腺の腫瘤性病変を合併症として言及している文献はあまり見られない.最近筆者らは16年の糖尿病歴を有し,糖尿病性の網膜症・腎症・神経症を合併した糖尿病患者の乳腺に腫瘤を形成した1例を経験したので,その概要を報告する.

化学療法後に穿孔をきたした回腸原発悪性リンパ腫の1例

著者: 荒木俊光 ,   湊栄治 ,   小西尚巳 ,   大澤亨 ,   福田宏司 ,   千賀雅之

ページ範囲:P.419 - P.422

はじめに
 消化管原発悪性リンパ腫の進行に伴う消化管穿孔は比較的多い合併症の1つである1,2)が,一方で化学療法施行に起因する消化管穿孔例の報告も散見される3,4).今回,化学療法後に穿孔をきたした回腸原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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