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臨床報告・1
メラニン染色および電顕像で診断した直腸肛門部無色素性悪性黒色腫の1例
著者: 上山直人1 渡辺明彦2 仲川昌之2 奥地一夫3
所属機関: 1奈良県救命救急センター外科 2奈良県立奈良病院外科 3奈良県立医科大学救急医学
ページ範囲:P.565 - P.569
文献購入ページに移動直腸肛門部悪性黒色腫は比較的稀な疾患である.なかでも黒色調を呈しない無色素性悪性黒色腫はしばしば扁平上皮癌,悪性リンパ腫,カルチノイド,未分化癌,肉腫との鑑別診断1〜4)を要する.有色素性の悪性黒色腫の場合にはHE染色などで容易に確定診断されるが,無色素性悪性黒色腫の場合にはメラニン染色,DOPA染色によるメラニン顆粒の証明1),S-100タンパクを用いた免疫組織染色2),透過電子顕微鏡によるmelanosomeの確認1)などにより初めて確定診断が可能である.また,本症の悪性能は強いため予後はきわめて不良1,2,5〜8)である.
今回,初診時脱出外痔核様所見を呈し,術前生検で移行上皮癌(疑)のもと手術が施行され,摘出標本のメラニン染色(Warkelらの方法9)-Fon-tana・Masson法より優れている)および透過電子顕微鏡検査で確定診断がつき,術後4か月で脳転移再発をきたした直腸肛門部の無色素性悪性黒色腫の1例を経験したので報告する.
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