文献詳細
文献概要
臨床報告・1
術中内視鏡により小腸ポリープのクリアランスを行ったPeutz-Jeghers症候群の1例
著者: 澤井照光1 井手昇1 辻孝1 安武亨1 中越享1 綾部公懿1
所属機関: 1長崎大学医学部第1外科
ページ範囲:P.575 - P.578
文献購入ページに移動Peutz-Jeghers症候群(以下,P-J症)は常染色体優性遺伝,口唇・四肢末端の色素斑,多発する消化管ポリープを主徴とする症候群で,その原因遺伝子として19p13.3に座位するLKB1/STK11がクローニングされた1,2).P-J症の臨床的問題は消化管を中心としたあらゆる臓器において発癌率が高いことである.P-Jポリープは組織学的には過誤腫であって,hamartoma-(adenoma)-carcinomasequenceについては詳細不明であるが,過誤腫からの直接癌化が示唆される臨床報告もみられる3〜5).こうした悪性腫瘍の発生や,腸閉塞・腸重積の合併がP-J症の予後を左右すると言われており,消化管ポリープのクリアランスは臨床医にとって重要な課題であると考えられる.クリアランスの方法として侵襲の面からは内視鏡摘除が理想的であるが,通常の内視鏡検査ではTreitz靱帯,あるいはBauhin弁からそれぞれ数十cmまでが到達できる限界である.今回,筆者らは腸重積をきたした内視鏡摘除不可能なP-J症に対し開腹術を行い,術中内視鏡の併用で小腸ポリープのクリアランスを施行した1例を経験したので報告する.
掲載誌情報