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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻5号

2001年05月発行

文献概要

外科医に必要な脳神経外科common diseaseの知識・10

静脈洞血栓症

著者: 魏秀復1

所属機関: 1馬場記念病院脳神経外科

ページ範囲:P.677 - P.679

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疾患の概念
 発症形態は脳出血である.しかし単なる「脳出血」と誤診され,止血剤の投与を受けて悪化することもある.病態はなんらかの原因で上矢状静脈洞,横静脈洞,S字静脈洞などの静脈洞が閉塞することにより,静脈環流が悪化して出血性静脈梗塞(静脈環流域の脳内出血)が生じたものである.症状は出血部位の巣症状とともに痙攣を呈することが多い.時間的・空間的に出血が増大したり,多発することもある.左右大脳半球に時間を異にして出血することも稀ではない.脳出血であっても止血剤の投与は禁忌である.小さな「脳出血」の治療中に出血が増大したり,反対側にも出血するような時,または出血が小さいわりに病状に重篤感があり痙攣が重積したり,またCTスキャンで頭蓋内圧亢進所見があれば静脈洞血栓症を疑い,速やかに専門医に転送すべきである.原因が明らかな場合にはホルモン剤内服などによる血液凝固系異常,乳様突起炎などのS字静脈洞近傍の感染症の直接波及などあるが,原因が特定できないことも多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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