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文献詳細

雑誌文献

臨床外科56巻5号

2001年05月発行

文献概要

南極物語

初めての女性隊員

著者: 大野義一朗1

所属機関: 1東葛病院外科

ページ範囲:P.683 - P.683

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 1月まで白夜だったものが3月には昼と夜の長さが半々になり,同じ勢いでなお昼は短くなり続けた.南極の冬は夜の季節であり,オーロラの季節であった.
 日本隊のオーロラ研究は地上観測,宇宙からの人工衛星,直接ロケットを打ち込むなど先駆的で意欲的に行われてきた.現在では地磁気に引かれた太陽風のプラズマが大気分子を励起する現象と解明されたが,そのことでオーロラの美しさが損なわれることはない.南天の星座を背景にあでやかな色となまめかしい動き,そして全く音がしない神秘さ.北欧で不吉な前兆とされていたのも首肯ける危ういほどの魅力があった.理屈上はいつも出ているわけだが肉眼では天気のいい夜にしか見えず,なかでも本当に華麗なものは越冬中10回ほどであった.もっとも騒ぎ立てるのは初めの3,4回であとはバーの誰も見向きもしない窓の飾りになっていた.しかしその研究となると事情が変わる.39次隊のオーロラ担当は日本で初めて越冬した女性の1人カズボウだった.昼は眠り,暗くなると起き出す逆転生活でダボも含めすべてのオーロラを見続けていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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