文献詳細
臨床報告・1
光ガイドキーボード装置を用いた高齢者周術期音楽療法の試み
著者: 近森文夫1 国吉宣俊2 渋谷進2 高瀬靖広3
所属機関: 1国吉病院消化器外科 2国吉病院消化器内科 3つくば双愛病院外科
ページ範囲:P.993 - P.997
文献概要
本邦における平均寿命は20世紀後半に急速な延びを示したが,高齢化社会はさまざまな問題を提起している.一般外科臨床においても,顕性あるいは潜在的痴呆状態をかかえる高齢患者に遭遇し,適応について悩みながら外科手術を遂行しなければならない場合も少なくない.高齢者における周術期のせん妄など,精神機能の異常発現頻度は非高齢者に比べて明らかに高く1〜4),周術期精神機能障害を最小限におさえ,かつ術後の生活機能を低下させない工夫が望まれている.これまでの急性疾患罹患後のリハビリテーションはどちらかというと筋力トレーニングプランを主体とするものが多く,患者の心,すなわち脳の情動中枢を刺激するものは少ない.現在,音楽療法はストレス解消や痴呆状態に対する応用などどちらかというと慢性的な神経・精神科領域で積極的に試みられているものの5〜7) ,急性疾患とくに外科領域における音楽療法は今なお未開拓の状況といえる.そこで今回,光ガイドキーボード装置を用いた周術期音楽療法の試みについて報告する.
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